JTA中間決算、26年ぶりの赤字 新型コロナの影響で旅客数が大幅減
- 2020/10/31
- 経済

日本トランスオーシャン航空(JTA 青木紀将社長)は10月30日、2021年3月期の中間決算を発表した。売上収益は前年同期比65.8%減の78億円、営業損益は62億円の赤字(前年同期は54億円の黒字)、経常損益は62億円の赤字(同55億円の黒字)、純損益は43億円の赤字(同40億円の黒字)となった。
新型コロナウイルスの感染拡大により、4月~9月の旅客輸送実績が前年同期から80.6%減少したことなどが影響した。
赤字幅は過去最大
新型コロナウイルスは、航空業界の業績に深刻な影響を及ぼしている。JTAが所属するJALグループは同日、2020年度通期の業績見通しとして、連結純損益が2400億円~2700億円の赤字(前期は534億円の黒字)と発表した。ANAグループが27日に発表した見通しでも、20年度は連結純損益で5100億円の赤字(同276億円の黒字)となっている。
JTAの中間決算が赤字となるのは1995年3月期以来で、赤字幅は過去最大。通期の業績について、同社は「新型コロナの影響は依然、不透明な状況。現時点では見通しを公表できる状況ではない」とした。
沖縄に入域する観光客数は、今年度の上半期は前年同期比81.8%減の97万3100人で、昨年8月単月の102万1200人をも下回った。JTAの中間決算で、売上収益のうち8割を占める旅客収入は前年同期比80.8%減の59億円。観光客減の影響を強く受けたと言える。
下半期は黒字化目指す
青木社長は「お客様の数は、緊急事態宣言が出たゴールデンウィークを底に6月、7月と需要が回復したが、8月に県独自の緊急事態宣言で1カ月間需要が落ち込んだ。(ただ、)10月のGoToトラベルキャンペーンを契機に回復基調にある」と述べた。同社は、旅客の回復基調を受け、下半期での黒字化を目指したいとしている。
営業費用は、同20.0%減の140億円。上半期で計画していた約1万3120便のうち41%を減便し、燃料費などの変動費を前期比23%(21億円)削減した。人件費などの固定費も、賞与係数見直しによる人件費抑制などで同16%(13億円)削減した。
青木社長は「地元沖縄の公共交通機関として、生活路線を最低限維持し、島の特産品が滞留しないよう貨物臨時便も飛ばした。県大会で離島から本島へ移動する球児のためにチャーター便も運航した。地元『沖縄の翼』として、最低限の役割を果たすことはできたと認識している」と語った。
同社は、21年4月新規採用は中止している。雇用の削減は計画しておらず、路線減も想定していないという。
(写真・記事 宮古毎日新聞)