「煩雑な申請助けます」中小企業・個人事業主をサポートする組合が始動

 
「沖縄県ビジネスプランニング事業協同組合」の代表理事・園田芽衣さん(右)と副理事の山城浅香さん

 中小企業・個人事業主、フリーランス向けに創業や補助金活用、DX人材育成などをサポートする「沖縄県ビジネスプランニング事業協同組合」が今年9月に設立され、会員を募集している。

 代表理事の園田芽衣さんは、県内の個人事業主が開業して1年以内に約4割が廃業している現状を指摘し、事業計画を策定することの重要性を強調。その上で「金融機関からの融資や行政への補助金申請なども含めて、さまざまな選択肢と方法があることをきちんと伝えて、沖縄の事業者たちがきちんとお金を生み出せるようにしたいんです」と語る。

「おいていかれる層」をすくい上げる

 自身でも起業の経験がある園田さんは「沖縄が豊かになるためには個人事業主の力が必要不可欠だが、それをバックアップする組織がない」ことを問題視し、組合の設立に踏み切った。現在はマイナンバーを使った電子申請や電子帳簿の義務化、確定申告の改定など、行政手続きの電子化が急ピッチで進んでいる。

 その真っ只中で、スマホやPCを持たずネット環境も整備していない“おいていかれる層”の事業者も一定数いるが、そうした人たちの相談窓口がどこにも無いのが現状だという。

「各市町村の行政や商工会にも一応窓口はあるんですが、基本的に記入済みの申請書類を確認することが中心で、申請方法を教えるなどのサポートしてくれるような場所は実質的にはありません。税理士にしても一見さんを対応しないことが多いので、あぶれた人たちや困っている人たちの支援をする場所の必要性を強く感じていたんです」

 加えて、現在はコロナ禍でもある。小さな個人商店や個人経営の店主にとっては、電子申請のハードルが高く、給付金や支援金などを諦めた例も多々ある。園田さんは「協力金や補助金など、適切に申請していれば本来は200万円くらい受給できたかもしれないのに…というケースも少なくない」ことを指摘し、「ギリギリで頑張れる今だからこそ、これからも“生き延びる”ために補助金を有効利用する必要があると思います」と話す。

先見据えた事業計画を

 組合は9月30日に設立し、現在7人体制。それぞれの道のエキスパートが支援にあたる。沖縄県内で見ると、同業種の組合は少なくないが、今回のように異業種でなおかつ市町村を超えて結成する組合はあまりない。

 創業、販路拡大、新規顧客の獲得、補助金活用、DX化など、経営に関する各種支援や、資金繰りについての相談なども受け付ける。さらに、今後は会員向けの研修も月に10〜15回程度開催を予定しており、WEBサイトやポップなどのデザインやSNSの有効活用方法、PDCAワークの見直しなど、すぐに実践できるコンテンツがラインナップされている。直近では12月3日に専門家を招いた「決算書丸わかりセミナー」を開く予定だ(非会員も参加可能)。

「コロナ禍もあり、厳しい状況の中だからこそ数年先を見据えた上での事業計画が必要になります」と園田さん。「そんな今だからこそ、自分で数字を把握して課題解決に動くことが大切です。事業の多角化や改善、そして成長を考えている個人事業主の皆さんにぜひ加入してもらいたいです」と呼びかけた。

【沖縄県ビジネスプランニング事業協同組合】
・住所:浦添市勢理客4-13-1-505
・電話:070-8470-0928(受付は平日 10:00〜15:00)
・メール:info@bijing-okinawa.jp
・WEBサイト:https://bijing-okinawa.jp/head

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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