沖縄のワーケーション推進へ産官学金が一丸連携 協議会発足
- 2021/11/23
- 経済
沖縄観光コンベンションビューローは11月17日、那覇市西のロワジールホテル那覇で沖縄県全体でのワーケーション関連の取り組み促進を目指して「沖縄リゾートワーケーション推進協議会」の設立シンポジウムを開催した。これまでに沖縄県内でも、各民間企業・団体などが独自でワーケーションの取り組みを進めていたものの、各所を連携してとりまとめる機関がなかった。産官学金の連携などで、新しい観光立県として一丸となってかじを取っていく。
ビジネス創出や地域課題解決にもつなげる
ワーケーションとは、「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた造語で、働きながら休暇も楽しむことを指す。新型コロナウイルスの影響でリモートワークが一般化した昨今、新しい働き方やライフスタイルの一つとして注目を集めている。地方創生の切り札として全国的にも促進の取り組みが進められている。
共同代表に沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長、琉球大学の西田睦学長、沖縄県銀行協会の山城正保会長が就任した。設立は同日付で、会員は12月から募る。
沖縄観光コンベンションビューロー企画施設事業部の内間康貴部長は「全県的な推進体制構築で、他地域に負けない観光立県としての動きとしていく必要がある」と設立の意義を話した。
取り組みの柱として①必要な通信環境・拠点の整備②さまざまなスタイルでのワーケーションの構築③多様な産業への波及、産官学金の連携―を掲げる。特に観光立県の沖縄では、ワーケーションの促進で、長期滞在や観光消費額の向上などプラスの側面が生まれ、地域の活性化や経済的向上につながるとの期待がされる。
さらに、産官学金の連携で、新たな学びの機会やビジネス創出の他、地域の社会課題解決まで可能性を広げる。
沖縄県内では2020年度から、内閣府「沖縄テレワーク推進事業」が実施され、施設整備や活用支援などが進められている。
今後は「社員旅行がワーケーションに」
観光マーケティングなどに詳しい玉川大学観光学部学部長の家長千恵子氏が基調講演を行った。家長氏は観光庁の調査結果を引用しながら「ワーケーションをする際には1週間程度滞在したいという人も多く、(距離的な制約が軽減される面で)関東圏からも沖縄に来やすい」と述べ、行き先として選ばれやすくなることを指摘した。また、経営者の約7割が社員などチームでのワーケーションに取り組みたいと考えていることから、需要の伸びを見込み「今後は社員旅行がワーケーションになってくるのでは」と予測した。
質疑では、会場から「テレワークや長期出張だと会社の経費で落ちるが、ワーケーションとなると労災や旅費負担の問題が出てくる」との問題点が上がった。これに対し家長氏は「観光庁の制度で、ワーケーションの普及に向けたアドバイザー派遣がある。地域の受け入れ課題や企業側の要望などをすくい上げて共有しながら、制度作りに反映されるようになるはずです」と期待を込めた。