台湾金門島と沖縄に初チャーター便 今後の就航も視野に

 

 中国から直線距離で約5kmしか離れていない台湾の離島県・金門県と沖縄を結ぶ初めてのチャーター便が、タイガーエアーにより12月29日に運行された。沖縄から金門には約120人、金門から沖縄には約180人が訪れ、元日昼までの3泊4日のツアーを楽しんだ。また、メディアや観光業者など約20人も招待された。日台の関係者らは将来的な便数増加も見据えており、沖縄・金門間の観光活性や経済交流の可能性も高まっている。

赤丸部分が台湾金門県

 金門県と沖縄県台北事務所、台湾の旅行会社「彭大家族旅行社」が企画し、沖縄側でのツアーは沖縄ツーリスト(那覇市)が取り扱った。彭大家族旅行社の彭國豪社長は今回のチャーター便を皮切りに「3カ月に1回や半年に1回以上の直行便が実現できるようにしたいです。最終的には毎日1往復できるようになるのが理想です」と話した。

 金門県は大金門島、小金門島など、大小12の島から構成され、登録上の総人口は約14万人で、実質では約6万人。金門から沖縄へは台北や高雄を経由してから行くのが一般的で、約4時間かかっていたが、直行便では約2時間に短縮された。

 中国福建省にある経済特区で人口400万人以上の廈門市とも海を隔てて隣接しているため、沖縄との直行便が実現すると、アフターコロナの状況によっては、廈門、金門、沖縄の3地点での往来活性にも期待ができそうだ。

沖縄と共通する「戦争の歴史」

 金門空港では金門側の関係者が横断幕を持って歓迎した他、獅子舞の演舞で華を添えた。

 金門島は、中国共産党と中国国民党の戦闘の最前線で、1958年から約20年間で、大陸側から約50万発の砲弾を受けた歴史がある。ツアーではそれらに関連した戦争関連の施設や、金門島の特産品である高粱酒の保管庫での試飲、伝統的な衣装を着ての街歩きなど、さまざまな文化に触れつつ、年越しまでを過ごした。

 昨年10月28日に開通したばかりの、大金門島と小金門島を結ぶ「金門大橋」も渡り、小金門島では国共内戦時の地雷撤去にまつわる施設なども回った。

大金門島から臨む金門大橋

 行きの機内で、沖縄ツーリストの東良和CEOは「コロナ禍になって初めてのチャーター便で不慣れな部分もあるかもしれませんが、ご了解いただきまして、楽しい旅行を作っていけたらと思います」とあいさつし、海外観光のニーズが少しずつ戻りつつある中で声を弾ませた。

 ツアーに参加した沖縄観光コンベンションビューロー海外プロモーション課の新屋敷悠さんは、大みそか夜の宴会で「今回のツアーを機に、今後情報交換しながら、沖縄と金門で観光客が訪れるような取り組みをしていきたいと思います」と述べた。

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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