沖縄の景気「持ち直し」維持 観光と消費需要の回復継続 日銀那覇3月
- 2023/3/14
- 経済
日本銀行那覇支店(飯島浩太支店長)は13日、2023年3月の県内金融経済概況(主要指数1月)を発表し、県内景気は「持ち直している」との判断を、6カ月連続で維持した。個別項目の判断もすべて据え置いた。資源高の影響を受けつつも、観光客や県民の外出機会の増加で、観光や消費の需要回復が続いていることを踏まえ判断した。
項目別では、個人消費が「緩やかに増加している」、観光は「持ち直している」、雇用・所得は「改善の動きが続いている」などと据え置いたほか、先行きも「持ち直しが続くとみられる」との判断を維持した。
飯島支店長は県内景況について「資源高による物価上昇にもかかわらず、全体としては観光と個人消費がしっかりしている」との認識を示した。また、10日までに報告があった2月の主要ホテル客室稼働率が速報値で72.7%となったことにも触れ「感染拡大以降のピークだった22年11月の70.3%を更新する水準にある」と説明した。
個人消費は、1月の百貨店・スーパー販売額(全店舗)が前年比11.4%増加した。食料品を中心に幅広い品目で販売価格が上昇する中、消費者の購買単価が上昇したほか、購入個数は底堅く推移している。
観光では、主要ホテルの稼働率が52.1%で昨年12月の65.2%を下回った。全国旅行支援延長の公表が直前となり、1月の稼働率は一時的に低下した。
先行きは、「観光需要は回復していく」と分析した。感染症の影響が和らぐ中で、個人から団体客まで幅広く増加していることに加え、今月からクルーズ船の受け入れやアジアからの国際航空路線が順次再開され、インバウンド客も着実に増加すると見込む。
消費者物価指数は、変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が前年比3.7%上昇し、引き続き3%台後半で推移している。物価上昇について、飯島支店長は「実質所得への下押し圧力となり、経済にはマイナスに作用する」とした。
その上で、当面(コロナ禍で一時的に抑制されてきた消費が回復する)ペントアップ需要の顕在化が続くと見込んでいる」と語った。
今後、景況判断を引き上げるポイントについて問われ「沖縄県の経済定常的な状態との対比で、どこまで戻ってきているかを判断する必要がある」と指摘し、もう少し状況を見極める必要があるとした。
物価上昇の見通しについては、「今年の秋くらいにかけて、物価上昇率は徐々に伸び率を縮めていく」との見解を示した一方で、思ったほど物価が下がらないというリスクをより意識しながら注視していく必要があることにも言及した。
また、飯島支店長は会見で今年度を振り返り、「はっきり沖縄経済が持ち直した年になった」と評価した。来年度に向けては、資源高や人手不足などの課題にどう取り組むのかや、企業の生産性を高めるチャンスでもあるとした上で「持続的な成長につながっていけば良い」と強調した。
(記事・写真・図 宮古毎日新聞 西田雄一)