キングス、天皇杯で準優勝 決勝は千葉ジェッツに76ー87で敗北

 
ゴール下でボール争いをするジャック・クーリー(右から2人目)ら=3月12日、東京の有明コロシアム(長嶺真輝撮影)

 男子バスケットボールの第98回天皇杯全日本選手権は3月12日、東京の有明コロシアムで決勝が行われ、初のファイナルの舞台に挑んだ琉球ゴールデンキングスは76ー87で千葉ジェッツに敗れた。頂点にはあと一歩届かなかったが、初の準優勝となった。千葉の優勝は4度目。

スリーの確率上がらず インサイド封じられる

4度目の優勝を飾った千葉ジェッツのメンバー

 試合は岸本隆一のスリーポイントで幕を開けたが、千葉が前半だけで9本のスリーを沈めて流れをつかむ。千葉が日本国籍取得選手のギャビン・エドワーズをケガで欠く中、キングスはジャック・クーリー、ジョシュ・ダンカン、アレン・ダーラムのインサイド陣で優位に立つかに見えたが、ローポストで千葉に徹底してダブルチームを仕掛けられた。外にパスを振って度々フリーでスリーを打ったが、確率が上がらず、7点のリードを許して前半を折り返した。

 後半に入るとキングスはガードやフォワード陣が積極的にドライブを仕掛けてリズムを変えようとするが、強度の高い千葉の守りを破れない。前半と同様にインサイドの攻撃も封じられた。第4クオーター(Q)の最終盤に3連続スリーを沈めて残り3分を切った段階で一時4点差まで詰め寄ったが、この勝負所で、千葉のエースで日本代表ガードの富樫勇樹にスリーを決められ、逃げ切られた。

 最終的にスリーは千葉が37.5%の確率で15本を決めたのに対し、キングスは26.5%の確率で9本。チームの大黒柱であるクーリーはわずか6得点、8リバウンドに抑え込まれた。

桶谷HC「Bリーグで優勝に値するチームに」

試合終了後、円陣を組むキングスのメンバー。客席のキングスブースターからは検討を讃える拍手が贈られた

 試合後の記者会見に臨んだキングスの桶谷大HCは「今の段階で自分たちがまだ日本一になるための力がなかったのかなと率直に思っています。千葉の方が一つ一つのプレーを大事にしていました。ただ、この天皇杯決勝の舞台で負けた経験は自分たちしかしていない。これからまたBリーグのレギュラーシーズンに戻っていきますので、最後にチャンピオンシップ(CS)を戦う時には優勝に値するチームになっているようにしたいです」と今後を展望した。

 チーム最長の30分36秒コートに立った岸本隆一は、勝負所でことごとく千葉がスリーを決めてきたことについて「踏んでいる場数が違うなっていうのを感じました。戦術とかそういうもので説明できない部分がありました」と振り返った。

 一方で、会場にはほぼ満員の9,315人が詰め掛け、沖縄からも多くのキングスファンが来場。試合を通して「ゴーゴーキングス」の声援で選手たちの背中を押した。それを念頭に、岸本は「負けてしまったんですけど、試合の雰囲気はすごく良くて、見てる人の心にくるものを届けられた試合にはなったと思います。当然勝ちも目指しながら、今後もプロ選手として存在意義も持ち合わせて戦っていきたいです」と力を込めた。

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長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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