「中小企業はもう限界」電気代高騰で87%が負担増 県中小企業中央会が調査
- 2023/3/11
- 経済
沖縄県中小企業団体中央会はこのほど、沖縄電力が4月に予定している電気料金の値上げを受けて実施した「電気料金上昇にかかる影響調査」の結果を発表した。値上げによって「大きな影響(負担)がある」「少し影響がある」と回答した組合や組合員企業は87%に上り、業種問わず波紋が広がっている現状が浮き彫りになった。とりわけ製造業は大小合わせて94%が「影響がある」と回答している。
製造業を直撃
製造業の中で大きな影響があると答えた企業には食品関連、建設資材、伝統工芸品、印刷といった種類の業態が並ぶ。また、製造業の他で大きな影響を受けると答えた業種には、サービス業、卸・小売業、運輸・通信業などがあった。
自由記述には「電気料金の値上げは製造業にはかなりの影響がある。機材等、維持管理費、物価高騰の上に、電気料金の高騰は沖縄経済への影響も計り知れない。高騰の負担は少なくとも10%にとどめてほしい」「電気料金上昇や物価高騰は業界間ではなかなか解決できることではなく、県や国として対策していただかなくてはいけないことだと思う」「中小企業はもう限界です。支援策などでどうにかして下さい」といった“悲鳴”もあった。
調査結果を受け、中央会は他の経済団体と連携しながら組合や組合員の負担増加に対して、国や県などが軽減策を講じるよう求める要請活動などで働きかけをしていくことも視野に入れているという。
直接補助は「要件が厳しすぎる」
電気料金が上がった際、料金負担増以外にどんな影響があるかについては複数回答で「電気料金増額分を価格転嫁できない」(31.3%)で最も多く、次いで「原材料等の価格上昇によるコストが増加する」(31.0%)、「経費増加により賃金アップができない」(19.6%)、「消費が消極的になり売上が減少する」(10.3%)と続いた。
負担軽減支援策として望むこと(複数回答)については、「電気料金増加分の直接補助」が53.9%で半数以上を占めた。その後には「各種支援金」(27.0%)、「省エネに効率的な設備等導入補助」(11.3%)などの項目が並んだ。
最多だった直接補助については、現制度の要件が厳しくハードルが高いとの指摘もあり、制度拡充を望む声も多いという。自由記述にも「おきなわ物価対策支援金は要件が厳しすぎて対象にならない組合員が多くいた」といった意見もあった。
また、生花組合からは「花を保存する大型冷蔵庫を使用するため、今回の電気料金値上げは大きな影響がある。省エネ機器導入等の補助金があるとありがたい」といった声が、建築資材関係の組合からは「政府による価格緩和政策事業を価格安定まで継続してほしい」というコメントも寄せられた。
要請活動に踏み出せない
このほか、組合・業界としての要請活動を行う予定については、86%と大半が「予定なし」と回答。「実施した」は6%、「これから実施予定」は8%にとどまった。
中央会の担当者は、厳しい状況にあるにも関わらず、要請活動になかなか踏み出せない状況について「社員が数名だったり、主導する人や団体がいないような状況で、訴えたいことはあるのですが行動に移せないというのが実情です」と説明した。
調査は中央会に加入している県内の中小企業組合を対象に今年1月に実施され、169組合が回答したもの。
■関連リンク
☆沖縄県中小企業団体中央会 WEBサイト
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