沖縄県勢のさらなる活躍を 2021年の野球を振り返る

 
第106回九州地区大学野球選手権南部九州ブロック2回戦で琉大・喜屋武選手が2点目のホームイン

 新型コロナウイルスの感染症対策をしながら過ごす2年目の2021年。スポーツ、とりわけ野球界はこれまでの経験を活かしながら対応する1年となった。

機動力でつかんだ具志川商業の甲子園初勝利

 高校野球は、春夏の沖縄予選では観客制限を行い、秋の県予選大会にようやく一般開放されたものの、生演奏や声援のない応援になった。そんな状況下で注目されたのは、県勢で7年ぶりに選抜大会21世紀枠で全国大会に出場した、具志川商業高校の甲子園初勝利だ。

 無名に近い公立校が甲子園で戦うため磨いてきたのは機動力。足で塁をかき回し相手を翻弄、一回戦は八戸西(青森)を8—3で下し初勝利を挙げた。甲子園では2回戦敗退となったが、その悔しさと初勝利の自信を胸に、その後の九州大会では見事に勝ち上がり、決勝は九州国際大付属(福岡)を相手に3−1で勝利、1979年の創部以来、初優勝を飾っている。敗戦をバネに成長した姿を大舞台で発揮した。

 夏にも期待が高まったが、そこは底力のある沖縄尚学が甲子園切符をつかみ取った。甲子園初戦は徳島の阿南光と対戦、エース左腕の當山渚投手が2安打12三振で8−0と圧勝したものの、2回戦は岩手・盛岡大付のバッテリーに翻弄され0−4と完封負けを喫した。沖縄県勢は2015年に興南高校がベスト8進出以降、なかなか上位進出が難しい状況である。

琉大は南九州ブロックで準優勝

 大学野球は、10月に沖縄セルラースタジアム那覇で開催の、第106回九州地区大学野球選手権南部九州ブロックで、琉球大学が初めて決勝進出、準優勝を果たした。勝つこと自体が初めてだった琉大は、初勝利の勢いそのままに、2回戦は熊本学園大を相手に6転差を見事にひっくり返した。決勝は7—12で宮崎産業経済大学に大敗したが、チーム一丸となって戦った姿は観客を魅了した。

 11月には福岡県で開催された「第10回九州地区大学野球連盟新人戦決勝トーナメント」で、沖縄大学が長崎国際大学(長崎県代表)と決勝戦を行い、6−3で勝利、2年ぶり2回目の優勝を飾っている。

 社会人野球は、夏に行われる都市対抗野球大会と、秋に行われる日本選手権がある。沖縄県は、沖縄電力、エナジックの企業2チームと、てるクリニック、クリード安仁屋ベースボールクラブ、ビッグ開発ベースボールクラブ、シンバネットワークアーマンズベースボールクラブの4クラブチームで戦い、九州大会を経て本戦に上位2チームが出場できる。都市対抗には、県勢の社会人チームとして2009年、沖縄電力が出場して以降県勢の出場はなく、いまだ未勝利である。

沖電・同点のホームを踏みベンチでハイタッチの小濱佑人選手

 今年の沖縄大会は、エナジックが、創部2年目の勢いのあるシンバを完封勝利でねじ伏せ、9年ぶりに優勝したが、九州大会を勝ち抜けられず、東京ドームに行くことが出来なかった。

ブルーオーシャンズは選手育成の「アカデミー」を柱に

 プロ野球に目を向けると、沖縄発のプロ野球チームとして発足した琉球ブルーオーシャンズもコロナ禍で活動を制限され、苦しい2年目のシーズンとなった。紆余曲折ありながらも、来年からは選手を育成する「アカデミー」を柱に、地域に根付く活動をしていく予定だ。

琉球ブルーオーシャンズ・さぁ、キャンプインだ!!2020年

プロ野球では県勢の活躍続く

 そして日本プロ野球機構では、12月15日、興南高校出身の宮城大弥投手(オリックス)が新人王に輝いた。2017年にソフトバンクの東浜巨投手が最多勝、2018年は西武の山川穂高内野手と多和田真三郎投手がそれぞれ本塁打王と最多勝。そして2020年に平良海馬投手(西武)が新人王と、県勢の活躍が続いている。

 宮城投手と言えば、2019年夏、興南VS沖縄尚学の決勝戦で229球の熱投、壮絶な戦いが記憶に新しい。点を獲られても取り返す打ち合いの展開、自らタイムリーを放つも塁上で膝に手をつき、マウンド上でふらつきながら投げた延長13回、2ストライクと追い込みながらも最後は押し出し四球で涙をのんだ。

2019年県大会決勝、229球をふらふらになりながらも投げきった宮城大弥投手

 この時を振り返って、恩師の我喜屋優監督は「あそこで次に誰がいける?宮城よりいい投手はいないんだ。最後まで一緒に戦う覚悟だったよ」と話した。今年リーグ優勝に貢献し新人王を獲得した教え子には「彼は本当に野球が好き。そして素直。先輩達の創ってきた成功失敗体験を活かして、幅広い大きな人間になってもらいたい。日々努力して根っこを大きく張ってほしい」と大輪の花が咲き続けることを願いながらエールを送った。

我喜屋優監督 興南高校理事長室にて

 2022年2月にはプロ野球、サッカーなどのキャンプが沖縄で始まる。身近でプロ選手の練習を見て学び、子どもたちが大きな夢と希望を抱いていけるよう、県勢たちの活躍をさらに期待したい。

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相羽 としえ

投稿者記事一覧

愛知県生まれ。東海ラジオアナウンサーからフリーアナウンサー&ライターに。スポーツニッポン、中日スポーツなどのスポーツ記者を経て、2017年沖縄与那原町に移住。3年間地域おこし協力隊として与那原の情報発信に務めた。現在もまちづくりなど様々な情報を発信中。

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