海外への商品発送の大幅簡易化でビジネスチャンスの可能性
- 2021/8/11
- 経済
コロナ禍で観光客が激減した最近は全く見なくなったが、以前は沖縄県那覇市の国際通りや那覇空港を歩くと、パンパンの荷物やショップバッグを抱えて歩く外国人観光客を頻繁に目にしていた。
その光景を見て、観光のために歩き回るには邪魔になりそうなほどの大量の荷物を何故郵送しないのだろうと不思議に思っていたが、海外への郵送は、商品を郵便局に持ち込み、インボイス(海外に発送する際に送り主が配送先に宛てて作成する貨物の明細書)を作成する必要があるという。郵便局に足を運ぶ億劫さしかり、それ以上に書類作成が煩雑であることが大荷物を持ち歩く理由だったようだ。
だが、この度、インボイスの作成が商品を購入したその店ででき、しかも書類への記入を自動でできるクラウド型海外宅配支援サービスが沖縄県内に誕生した。開発に携わったのは、地域産品等の海外展開や課題解決を図る「株式会社琉球物産貿易連合」(豊見城市)と、ウェブメディアの運営やサイト構築を行う「株式会社hais」(那覇市)の二社だ。
「カイタク」と名づけられた、このクラウド型海外宅配支援サービス、じつは海外への郵送を簡易化するだけでなく、海外から観光客が来なくてもインバウンドビジネスが成立する仕組みまで生み出す可能性も秘めているという。システム構築・運営を担う株式会社haisの社長・砂川真一郎さんと顧問・銘苅誠也さんに話を聞いた。
クラウド型海外宅配支援サービス「カイタク」とは
「海外にモノを送るハードルを低くし、誰にでもカンタンに世界に届けられるようにする」をコンセプトに掲げるカイタク」は、2020年8月から試験的に検証が行われ、同年10月に沖縄県嘉手納町にある「道の駅かでな」で運用が始まっている。
従来の海外発送は前述した通り、郵便局や配送業者に足を運ぶという手間に加え、煩雑な書類作成が障害となり、外国人観光客にとって不便極まりなかった。特に大変なのは郵送する商品の記入だ。インボイスを作成するには、商品ひとつひとつの「具体的な品名」を英語で記入しなければならず、さらに全商品の金額・重量・合計を記入する必要があるという二重三重の面倒が発生する。確かにこれだけ面倒ならば、大荷物を持ち歩くしかないと諦めるだろう。
海外発送の数々の手間を「カイタク」は大幅に簡略化した。使用方法は至ってシンプル。商品のJANコード(「どの事業者のどの商品か」を表す世界共通の商品識別番号)を専用のバーコードリーダーで読み取るだけだ。読み取り後はそのデータをもとに、インボイス等の書類が自動出力される。後は、出力されたデータに住所や名前などの基本情報を書き加えれば完了となる。