エコツーリズム第一人者がやんばる世界自然遺産登録に大賛成の理由

 

 その生物多様性や希少種・固有種の多さから、奄美大島、徳之島、西表島と共に世界自然遺産となった沖縄島北部の通称「やんばる」の森。 “世界の宝”と人間はどのように持続的に共生していけるのか。

 沖縄県内で20年以上も前からエコツーリズムに取り組む先駆者で、自然体験教育などを行う「やんばるエコツーリズム研究所」(国頭村安田)の中根忍代表は「エコ(環境に優しい)ツーリズムはエゴ(利己的な)ツーリズムになってはいけない」と環境保全を第一に考え、人々の環境意識を高めることから、やんばるの森の世界自然遺産登録を強く歓迎している。

世界自然遺産登録「動物たちにとっても喜ばしい」

 やんばるの自然を伝える活動を長年続けている中根さんに、今回の世界自然遺産をどう考えているか尋ねてみた。

「大賛成ですよ」

 開口一番にそう告げる。

「やんばるにいろんな希少動物がいるということを世界に知らしめると共に、国民も県民も『私たちが守らなければ』という自覚を持ち得るのではないでしょうか。日本国民が責任を持たならなければならない、という点で大きな意味を持つわけです」

 そしてこう続ける。
「私にとってはとても喜ばしいことなんです。動物たちにとっても、そうです」

「そのまま」で残す責任

 一方で、中根さんはこのようにも話す。

「(過度な観光客が押し寄せて悪影響が出る)オーバーツーリズムが起こらないような対策も、これから先重要な課題になってくるでしょう」

 例えば多くの人が森に立ち入ったり、拡声器を使って大きな音を出したりすると、森の動物たちは驚いてしまってもともとのすみ家を離れ、もう二度とそこには戻ってこない可能性すらある。

「そのままの状態で残す、という点に責任があるのではと思います。ツーリズムの観点から言っても、せっかく森の奥深くに入ったのに動物たちの気配がなければ不満が残りますよね。お客さんの不満と動物たちの不安は、イコールなんです

やんばるの森=7月6日、国頭村比地の長尾橋周辺(別日に撮影)
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