修学旅行はリピーターにつながらない? ポストコロナの沖縄観光の課題とは
- 2022/2/23
- 経済
沖縄振興開発金融公庫と日本交通公社が、現在の10代後半~30代の世代を「これからの旅行市場を牽引する世代」(以下、旅行牽引世代)と位置付けて、コロナ後の沖縄観光のあり方に関する調査研究の結果を発表した。
調査結果では旅行牽引世代の車離れが明らかになり、そのことによって沖縄旅行への意向が低下している傾向が指摘された。また、修学旅行のみで沖縄を訪れた場合には、修学旅行生がリピーターとなる割合が低いことも示されている。
これらの結果を受けて公庫は、車(レンタカー)に依存しないで移動できる交通体系の構築することや、沖縄を深く知り、興味・関心を高めるための修学旅行の内容の創意工夫の必要性などを指摘し、提言としてまとめた。
新規旅行客の獲得が不十分
調査は昨年10月、沖縄を除く全国の18~54歳の男女1800人を対象にオンラインで実施された。その中で、2021年を基準として、10~20代中盤を「Z世代」、20代中盤~30代を「ミレニアル世代」とし、両世代を旅行牽引世代として位置付ける。
沖縄観光の現状については、沖縄県の「観光統計実態調査」を基にコロナ前まではインバウンドや県外観光客の入域観光客数が長期に渡り増加が続いていたこと挙げた上で、年代別で見ると30代は横ばいで、国内観光旅行市場では活発的な20代の数字が沖縄で伸び悩んでいることを指摘。
さらに、沖縄に訪れる観光客の8割超がリピーターだが、全世代の訪沖回数が2回以下の割合は減少傾向で、20代も同様傾向であることから、新規旅行客の獲得が十分にできていない可能性を示しつつ「沖縄においては20代の旅行者を十分に誘客できていないことが示唆される」としている。
レンタカー運転できない20代は訪沖せず?
あらためて車離れについてみてみると、「レンタカーの運転に抵抗はない」と回答した旅行牽引世代の割合は約38%で、Z世代だけだと約28%となっており、年齢が下がるほどレンタカーでの運転に抵抗を感じていることが分かる。
また「運転免許を持っておらず、レンタカーを利用することはない」の割合は、40歳以上の6%に対してZ世代では5倍以上の約32%に上っており、車離れは明白と言っていい。
公共交通機関の充実化が図られておらず、沖縄旅行で利用する交通手段としてレンタカーを選ばざるを得ないことから、公庫は「レンタカーを利用できない20代は沖縄に来ていない」という仮説を立てている。
沖縄旅行をしていない理由は、全世代で「移動時間の長さ」と「交通費の高さ」の2項目を選択する回答者が多く、旅行牽引世代ではそれぞれが約半数に迫る数字となっている。
加えて、旅行牽引世代の13.9%が「沖縄県内の交通が不便」という項目を選択していることからも、若い世代にとって交通手段の選択肢が限られていることが沖縄旅行をしない1つのハードルになっている可能性がうかがえる。