旅行需要は回復基調、コロナ前と同水準見込み OCVBが1~3月期の見通し発表

 
国際通りは平日昼でも人通りが多くなってきている(2023年2月撮影)

 沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)が1月30日、2023年の1~3月の入域観光客数見通しを発表した。全体として旅行需要の回復基調が続いていることも踏まえて、入域観光客数は前年同期比2倍となる163万5,000人になるとの見通しを示した。

  1月は全国旅行支援(おきなわ彩発見NEXT)効果もあり、予約が堅調ではあるが昨年10~12月に比較すると伸びは緩やかという。2、3月には全国旅行支援に加えてプロ野球キャンプや春休み需要が好調に推移しており、コロナ前と同等の水準を見込む。台湾、香港、韓国などの国際線の需要も昨年から引き続き回復傾向にあるという。

プロ野球キャンプと春休みで予約好調

入域観光客数見通し(OCVB発表資料より)

 OCVBの下地芳郎会長は「厳しい状況が続いている中で確実な回復の様子が見えてきています。旅行支援とインバウンドが戻ったことで、結果的には(入域観光客数が)予想を上回るものになりました。官民で取り組んできた結果として評価しています」と述べた。

 国内の状況を見てみると、1月は旅行支援の効果によってコロナ前とほぼ同水準の50.5万人が見込まれている(2020年1月対比94.5%)。予約の伸びが緩やかな中でも、東京発の離島を含む沖縄路線の需要が比較的高いという。

 ホテルの稼働率も同様の傾向にあり、宿泊単価については北部・離島リゾート地区はコロナ前以上の高水準で推移しているが、一方で那覇市など都市部シティホテルはコロナ前の水準に達していない状況にある。

 2月はプロ野球キャンプ需要もあることからコロナ前とほぼ同水準の53万人、続く3月は春休み需要を踏まえてこちらもコロナ前同水準の60万人を見込んでいる。

 一方、海外の状況については、台北線、香港線、仁川線ともに需要が徐々に伸びてきていることを踏まえて、1~3月はそれぞれ空路入域客数を5~5.5万人と見立てている。

 担当者によると、海外路線は昨年末まで様子見の傾向もあって動きが鈍く、1便あたりの乗客数が少ない状況だったが、現在の搭乗者数はコロナ前の水準に徐々に近づいてきているという。とは言いつつも、2023年1月現在の沖縄発着国際線の週間便数はコロナ前の約4割という状況で、担当者は「戻ってはいるが、まだまだ回復の余地があります」とした。

「客数だけでなく消費額の動向も注視」

 下地会長は世界的な潮流からみて「東アジアは回復が遅い状況にあります」と指摘。「国際観光に向けての取り組みはこれから本格化していく必要があります」と述べた。また、沖縄観光の今後の展開については「質的なものに推移していくためにも、客数だけではなく消費額の動向にも目を向けていかなければなりません」と強調した。

 その上で「観光客が戻ってきている中で、各々の場所でクオリティに応じた適正価格でのサービスが提供されるような環境を整える必要があります。価格競争にせず、それぞれの“強み”を生かした展開をしていくことが重要だと思います」と話した。

 また、沖縄修学旅行の現状については、昨年10~12月の実施見込みは829校・164,603人で、今年1~3月の予約見込みは240校・44,976人との報告があった。暦年の推移を見ると、コロナ前の2019年は2,398校・409,011人。

 コロナの影響が直撃した20、21年はともに学校数が300校台後半で人数は約7万人に留まっているが、22年の見込みは学校数がコロナ前の約半数の1,204校、人数も225,488人まで持ち直してきている。

 ただ、担当者からは今後4~6月に修学旅行を予定している一部の学校でコロナ対応や価格の問題から、旅行先を沖縄以外の場所に方面変更する動きもあるとの指摘もあった。これを受けて、下地会長は「沖縄の安心・安全な受け入れ体制の周知も含めて、“沖縄離れ”にならないような取り組みをしなければならないですね」とコメントした。

■関連リンク
回復傾向に伴って課題も深刻化…2023年の沖縄観光を考えるために22年を振り返る ‖ HUB沖縄
質の高い観光を模索する「チャレンジの1年」 OCVB会長 新春インタビュー② ‖ HUB沖縄
国際クルーズの受け入れ再開 沖縄へのインバウンド復活後押しに期待 ‖ HUB沖縄

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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