質の高い観光を模索する「チャレンジの1年」 OCVB会長 新春インタビュー②

 
沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)の下地芳郎会長

 新型コロナウイルス感染症の影響によって大打撃を受け続けている沖縄県の観光業界。観光産業を「リーディング産業」と位置づけているにも関わらず、根本的な問題解決への道のりは遠いと言わざるを得ないのが現状だ。昨年の下半期からは観光客が徐々に増えてはいるが、観光業界からは「客は戻っても売上は戻っていない」という声も多数出ており、課題は今なお多い。
 こうした沖縄観光の状況を踏まえ、2022年の振り返りと23年の展望について沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)の下地芳郎会長に話を聞いた。後編はOCVBと県との役割分担、そして2023年の展望について語ってもらった。

<前編:沖縄観光の復興「道半ば」 OCVB下地芳郎会長 新春インタビュー①


2023年、年始の週末の国際通り。観光客は戻っている一方で受け入れ側の人手不足は深刻なままだ

 ―沖縄県は観光について「観光立県」「リーディング産業」と位置づけています。そうであれば本来は観光面でコロナ対策も含めた経済との両立を実現して、全国の中でも先陣を切って先進的な施策を実行して存在感を示せたら、ある意味で“絶好のチャンス”だったのではないかと、色んな局面で思ったんですが…。

「そこはある意味、医療に関しては高山義浩さん(県立中部病院、県政策参与)という非常に優れた方がいて、今のコロナ対策で先陣を切って孤軍奮闘してた部分もありますけども。観光業界も彼に救われた部分もあるし、逆に医療の立場に対して経済への影響が大きいという面では反発する時もありました。ただ私自身は高山さんのメッセージはいつも重く受け止めながら、でも反対意見は反対意見として『これは違う』という話は常にやってきたんですよ。

 『命を守る』ということを最優先するのは十分理解しつつ、でも経済を守らなくていいのかというもう一方側の意見に対して、十分な措置がされなかったと感じています。ここでやっぱり沖縄県が財政的に非常に脆弱であるということが露呈してしまった結果だと思います。でも、そうは言ってもやはり県独自で借金をしてでも中長期的な視点から初期の段階で観光業界をしっかり守るべきじゃなかったかということに関しては検証が必要だと思います」

 ―今後の沖縄観光の展開について、県とOCVB、そして民間企業との役割分担や整理が必要ということを下地会長は以前から発言していました。現状と今後とを見据えると、それぞれがどんな役割を担っていくべきなのでしょうか。

「教科書的にいけば、行政はその政策を示してその財源をしっかり確保することです。OCVBはマーケティングをしながらしっかり事業をして、県が立案した政策の実現に向けて役割を果たすということだと思います。ただ、そこが明確に切り分けられるかというとそうではないので、重なる部分で常に連携をしていかないといけません。

 行政で持ってる情報だけでも足りない、OCVBで持っている情報だけでも足りないので、その部分を組み合わせながら、どんな風に目標の実現を図るかということですね。政策を実施するための財源を県にしっかり手当をしてもらって、OCVBが国内外のマーケティングに基づいて具体的な事業に当たっていく、そして計画段階で見えなかった新しい動きをいち早く察知して政策に反映をするというような役割があると思っています」

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