沖縄の景況「持ち直し」、4カ月連続で判断維持 日銀那覇

 
2023年1月の県内金融経済概況を説明する日本銀行那覇支店の飯島浩太支店長=11日、日本銀行那覇支店(那覇市)

 日本銀行那覇支店(飯島浩太支店長)は11日、2023年1月の県内金融経済概況(主要指数は22年11月)を発表し、県内景気は「持ち直している」との判断を4カ月連続で維持した。同支店は、県経済の状況について「資源高の影響を受けつつも、観光客数や県民の外出機会の増加を背景に、観光や消費など需要の回復が続いている」と分析した。

 個別項目の判断では、観光で「持ち直している」、個人消費では「緩やかに増加している」、雇用・所得は「改善の動きが続いている」との判断を据え置いた。一方、公共投資については「弱めの動きとなっている」に引き下げた。

 沖縄観光では、主要ホテルの客室稼働率が22年11月は70.3%となり、コロナ禍以降、初めて7割を超えた。季節的に稼働率が低いとされる12月も、昨年は速報値で68.0%とコロナ禍前の19年を上回った。

 飯島支店長は、観光について「昨年10月以降は、(政府が行う)全国旅行支援の効果で押し上げられたが、実勢としても観光需要は回復していると考えている」と語った。

 個人消費は、同11月の百貨店・スーパー販売額(全店舗)は前年比6.5%増となった。物価の上昇により販売額が増加してる面もあるが、引き続き堅調に推移した。

 一方、公共投資では公共工事保証請負額が同11月は前年比22.1%減となった。前年に大型工事が集中した反動などで前年比マイナスとなっている面もあるという。

 飯島支店長は、「来年度以降、沖縄振興予算が多少減少していることもあり、それに基づく公共投資は少し減少方向だと思うが、防衛関連は予算を増加させており(沖縄など)南西地域に振り向けられると公共投資が増える要因になる。その綱引きになるのではないか」と述べた。

長期的には賃金上昇が重要

 消費者物価指数は、変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が同11月は前年比3.8%上昇となった。現金給与総額(22年10月)は同1.0%減だった。物価が上昇する中でも、観光や個人消費が好調な理由としては、コロナ禍で抑制されていた消費が回復する「ペントアップ需要」が考えられるという。

 ただ、飯島支店長はペントアップ需要は永続性があるものではないとも指摘し、「観光や消費が持続的に伸びるためには、少し長い目でみると賃金が上がって物価上昇率を上回ることが大事だ」と語った。

 また、「県内では人手不足と物価高から、賃上げに対してかなり前向きな企業経営者の発言が増えている印象がある。そうした流れが本当に実現していけば、実質賃金がプラスになる形で消費や観光が支えられ、ペントアップ需要からバトンタッチされるのではないかと思っている。ただ、賃金がそれほど伸びないことや、物価(の上昇)が収まらないことなどで、実質賃金のマイナスが続くことがリスク」との見解を示した。

 県経済全体の先行きについて、同支店は「持ち直しが続くとみられる」との判断を維持した。

(記事・写真・図 宮古毎日新聞)


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