沖縄⇔中南米沖縄社会の経済活性へ オキナワ移住地からも提言

 

 裕貴さんはボリビアの日系人や県系人らと日本企業をつなげる人材マッチングアプリの展開アイデアについて発表した。

 ボリビアでは大学を卒業してもその専門性を活かせる就職先が不十分であることに加え、県系人らが日本へ出稼ぎに行っても「一定期間のみ工場などで働いただけで、帰国後のキャリアアップにつながらないこと」が課題だという。

 ボリビアには語学や農学関係に長けた人材がそろっていることなどを紹介した上で「沖縄の雇用問題も深刻だと聞いています。中南米のウチナーネットワークの活用を行いたいです。沖縄は47都道府県で一番、世界に誇れるネットワークを持っています」と語った。

 ボリビアでの「ウチナービジネスワークショップ」では、他の参加者から、コロニア・オキナワでのアグリツーリズムの他、沖縄県内やボリビアの有名観光地・ウユニ塩湖に移住地のアンテナショップを設置するアイデアが挙がったことも紹介された。

「オキナワ移住地産の米を泡盛の原料に」

 後半のパネルディスカッションには、沖縄県文化観光スポーツ部の宮城嗣吉部長、WUB沖縄の上江洲仁吉会長、株式会社伊島の島袋正克代表、株式会社みらいおきなわの木村政昌常務が登壇。進行役はJICA沖縄の矢部優慈郎・市民参加協力課長が務めた。

 沖縄から中南米への輸出ビジネスの可能性について、木村氏はシンポジウム内のビジネスプラン発表で前出の玉城優美さんがボリビアのコーヒー輸出について述べたことに触れ「ボリビアからコーヒーが輸出されたとしたら、沖縄からは焙煎技術を輸出できます。必ずしも物と物の輸出入ではなくて、技術と物の輸出入ができる可能性もあります。大事なのは身の丈に合わせて小さく始めて成功体験をしていくことです」と述べた。

 物流面の課題について、島袋氏は「沖縄は輸入も輸出も船を使うしかないため物流コストが高くなってしまいます」とした一方で、日本から南米の船賃より、南米から日本への船賃が安価であることを説明。「原料を南米で作って、完成品を沖縄で作って、これをまた南米へ持って行くことができます。例えば、泡盛の原料米は通常タイ米ですが、これをオキナワ移住地産の米で作ることができると、『オキナワン・トレーサビリティ(追跡可能な物流)』になります。両方に利益があり、夢のあるビジネスになってほしいです」と期待を込めた。

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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