沖縄への観光客、上半期4割増も厳しい状況続く
- 2021/10/28
- 経済
沖縄県は26 日、21年度上半期(4~9月)の入域観光客数は、対前年度同期比40.2%増の136万4200人だったと発表した。過去最大の減少となっていた前年度からは増加したものの、前々年度比では74.5%減と引き続き厳しい状況が続いている。
新型コロナウイルスの感染が拡大する以前は好調だった沖縄観光。19年度上半期は過去最高の534万8600人を記録した。一方、新型コロナの感染が広がった20年度の上半期は、4月、5月に全国的な緊急事態宣言が出されたことなどで、入域客は97万3100人と過去最大の下げ幅となっていた。
今年度は、4月中旬から県内に「まん延防止等重点措置」が、5月下旬からは国による緊急事態宣言が発令されたが、航空会社による減便規模が縮小したことなどで、前年度からは増加した。ただ、9月は昨年より減少に転ずるなど、新型コロナの感染状況に強く影響を受ける状況が続いている。
下半期については、ワクチン接種の普及や、国による実証実験の実施など経済活動の再開に向けた取り組みが実施されていること、GoToトラベル事業の再開が検討されていることなどから、県は「観光需要の回復が期待される」と予測している。国内感染状況の改善も県の予想を後押しするが、感染の第6波が訪れる可能性もあり、国や県のかじ取りが注目される。
県は、2020年度の観光収入は、新型コロナウイルス感染症等の影響で入域観光客数が大幅に減少したことから、前年度比4562億4500万円(64.7%)減の2485億円になったことも発表した。年度集計を始めた06年以降で最も低い水準といい、減少額、減少率とも過去最大となった。
一方、同年度の観光客一人当たり県内消費額は前年度比34.3%(2万5531円)増の9万9956円で、これまでで最も高い水準となったことも明らかになった。県は「GoToトラベル事業の影響による旅行費用の引き上げ、平均滞在日数の増加、消費単価が比較的高い夫婦などの割合が増加したことが影響した」と分析している
沖縄県観光政策課の山川哲男課長は、県庁での会見で「海外に行けない状況で、国内屈指のリゾート地の沖縄に来る方が増えたのではないか。沖縄で保養したいという夫婦旅の増加などが総合的に滞在日数の延伸につながったのではないか」と述べた。
今回の調査で、県は新型コロナウイルスの影響で調査ができなかった20年4~9月については、観光客が県内で消費額を前年同期の数値から試算したとしている。同年10~21年3月についても、これまでの調査員による調査からQRコードを用いた調査に変更するなど、従来と異なる方式を採用した。このため、県は今回の数値は「試算値」と強調している。
(記事・写真 宮古毎日新聞)