沖縄の景況「持ち直している」維持 日銀那覇11月
- 2022/11/12
- 経済
日本銀行那覇支店(飯島浩太支店長)は11日、2022年11月の県内金融経済概況(主要指数9月)を発表し、10月に引き上げた景気判断「持ち直している」を維持した。飯島支店長は「観光客数と県民の外出機会の増加傾向が続く下で、観光や消費などの需要が回復している」と述べた。目先の県内経済についても「持ち直しが続くとみられる」との判断を維持した。
個別項目では、設備投資を「持ち直しの動きがみられる」、雇用・所得情勢で「改善の動きが続いている」とし、それぞれ上方修正した。県内企業の設備投資に関する各種調査で、前年度を上回る設備投資が計画されているとの結果が示されており、雇用・所得では有効求人倍率が7月以降3カ月連続で1倍を超え、改善が続いているとした。
観光は「持ち直している」との判断を維持した。主要ホテルの客室稼働率は9月が53.4%、10月は全国旅行支援の効果で66.6%(速報値)となり、新型コロナウイルス感染拡大以降で最も高い水準となっている。
個人消費は、百貨店・スーパー販売額(全店舗)の9月は前年比6.0%増加した。食料品販売の堅調さが継続し、外出機会が増える中で、衣料品や雑貨の販売に引き続き動きが見られる。
消費者物価指数は、変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が前年比プラス3.2%と5月(同プラス2.5%)から上昇幅が拡大している。一方で、8月の現金給与総額は同プラス1.4%だった。
飯島支店長は、物価の上昇が続いていることについて、抑制してきた需要が一気に回復するペントアップ需要を踏まえ「物価の上昇が今のところ個人消費を落ち込ませる状況にはない。むしろ、個人消費はしっかりとした状況が続いている」と述べた。
また、ペントアップ需要はいつまでも続くものではなく、その効果が剥落した後、消費動向において賃金が重要になると指摘。その上で、人手不足が強まっている中で賃金上昇圧力は高まっているとして「賃金は上がっていくだろう」との認識を示した。
先行きの県内経済については「感染の抑制と経済活動の両立が進んでいく下で、観光や消費といった需要の回復が続いていく」と述べた。
(記事・写真・図 宮古毎日新聞)