「九州沖縄で最初に選ばれる会社へ」ソラシドエア染矢沖縄支店長

 

 株式会社ソラシドエア(宮崎市)はこのほど策定・発表した2022~2026年度の中期経営計画の中で、経営ビジョンに「九州沖縄のフラッグキャリアになる」と掲げ、これまで以上に沖縄でも「地元と一緒になった地域貢献」を前面に押し出している。那覇空港を拠点空港の一つとし、8月に就航20周年を迎えるソラシドエア。今後のビジョンを、同社沖縄支店長の染矢和子氏に聞いた。日本各地の数ある航空路線の中でも、特に沖縄路線には「コロナからの回復」という点で期待できる大きな意味があるという。

那覇離発着便が最多

ソラシドエア提供

 ソラシドエアは、九州・沖縄の各空港と東京(羽田)・名古屋(中部)・神戸の各空港を中心に結ぶフルサービスキャリアだ。本社を置く宮崎での離発着便は3路線あるが、那覇離発着便は7路線と同社の中で最多。羽田離発着便が6路線と続き、那覇と羽田が主な拠点空港となっている。

 那覇からは就航を開始した順に鹿児島、宮崎、神戸、石垣、名古屋(中部)、福岡、東京(羽田)の7空港を結んでおり、3大都市圏だけではなく、鹿児島や宮崎といった九州の都市とも人々をつなぐ。

ソラシドエアウェブサイトより

九州沖縄の翼として

 ソラシドエアが経営ビジョンに掲げた「フラッグキャリア」というワードは、単純に便数や客数が多いという意味とは一味違う。昨年度から沖縄支店長に就任した染矢氏は「拠点としている九州と沖縄のお客様にとって、真っ先に連想してもらって真っ先に選ばれるような会社になりたい、という思いが込められています」と述べる。

 ソラシドエアの客層は、レジャーや帰省、冠婚葬祭などの利用客がビジネス利用客よりも多く、より日常や生活に根差した“地元の”航空会社としての理念を軸に経営してきた。今回の経営ビジョンには副題が添えられている。「九州沖縄のフラッグキャリアになる~地元と共につながりを創り、地元になくてはならない『九州沖縄の翼』になる~」-。

 同社はこれまで、九州・沖縄の地域振興につなげる「九州・沖縄プロモーター」プロジェクトの一環として、九州への移住促進マッチングイベントである「九州移住ドラフト会議」のメインスポンサーや、九州・沖縄はじめ就航地名を運航機体に表示して地域PRする「空恋~空で街と恋をする~」などに取り組んできた。

■関連リンク
☆ソラシドエアが特別機で沖縄市をPR!沖縄アリーナなどプリント | HUB沖縄

沖縄上空を飛ぶソラシドエア機(同社提供)

 地域と共に歩むという姿勢を重視する点について、染矢支店長は「会社が立ち上がった当時も地元の方々の協力と理解がかなり大きく、その支えがあったからこそ就航20年を迎えようとしています。地域にきちんと還元して、応えていけるような会社でありたいと思います」と話す。

空港に集まる“ドラマ”を大切に

 「空港って、いろんな人が、いろんな思いや出来事を抱えてやってくるんですよね。気取った言い方になるんですけど、ドラマがあるんですよ」。染矢氏が真っすぐな目でそう話すのは、自身の経験に基づいているからだ。

 中学1年生で初めて一人で飛行機に乗った時のことが、今の仕事を選んだきっかけにもなった。「一人で不安な中、グランドスタッフの方もキャビンアテンダントの方もものすごく親切にしてくれたのがすごく印象に残っていて」。行き先は福岡にいる親戚のもとだった。「宮崎から福岡なので近いんですけど」とは言うが、少女時代の染矢氏にとっては大きな冒険だった。空港を訪れる一人一人が抱いている唯一無二のドラマに思いを重ね、描いている。

沖縄路線が盛り上がることで…

 2020年から突入したコロナ禍。航空業界にも不振が続き、観光立県である沖縄県は経済的、心理的なダメージを受けている。コロナ禍に突入した当初に比べて飛行機の利用者数は回復基調にあるものの、沖縄はコロナ感染者率の高さもあり、人気観光地でありながら客足が戻っているとは言えない現状にある。

 その中で染矢氏は、沖縄路線が持つ意味を「沖縄への旅行が盛り上がることで、『国内の旅行にまた行きたいね』というきっかけになればと思っています」と話す。コロナの影響の大きい沖縄で安心安全の旅を実現させていくことで、日本全体の旅行需要喚起につながる起爆剤としての可能性を感じている。「いろんな場所でいろんな人と出会って、いろんな刺激を持ち帰ってまた日常に戻っていくというのはすごく大切なことだと思います。感染対策をしっかりして、安心安全の旅のノウハウを(沖縄から)伝えていきたいです」

「受け入れる側」から「出かける側」へ

(左から)ソラシドエアの原田知己首都圏広報担当部長、染矢和子沖縄支店長、松井成道沖縄支店マネジャー=7月21日、那覇市内

 観光地である沖縄は「人々の行き先」となる性格であることに加え、人口規模も関東や関西に比べると圧倒的に少ないことから、観光客数という視点においては基本的に「受け入れる側」だ。その一方でソラシドエアとしては「沖縄の人にもいろんな場所へ出かけてほしい」という思いがあるという。沖縄の人もどんどん「出かける側」にというパラダイムシフトを構想している。

 「沖縄と各地を結ぶ路線はたくさんあるんですけど、沖縄で他の県の魅力を十分にPRしているとは言えなかったと思います。県外では、沖縄のPRをものすごくしているんですよ。でも逆に、沖縄で宮崎や鹿児島のPRをしてきていませんでした。だからもしかすると沖縄が『受け入れる側』に徹してしまっていたのかな、と。そこの視点を変えていこうという話も社内では進んでいます」(染矢氏)

10月にはAIRDOと共同持ち株会社

 「九州・沖縄の翼」を理念に掲げる株式会社ソラシドエアは、同じく地域に根差し「北海道の翼」を掲げる株式会社AIRDOと10月に共同で持ち株会社を設立する予定だ。協業を通してそれぞれの生産性向上やコスト削減などに寄与し、ノウハウの共有で新たな価値の創出を目指す。新会社の名称は「株式会社リージョナルプラスウィングス」。“地域のプラスになる翼”へと、次なるステップに進む。

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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