沖縄電力、22年3月期決算は減収減益 燃料価格高騰で「非常に厳しい」

 
沖縄電力の吉の浦火力発電所=沖縄県中城村

 沖縄電力(浦添市、本永浩之社長)が28日に発表した2022年3月期の連結決算は、減収減益となった。他事業者への契約切り替えなどで販売電力量が落ち込み、売上高は前年度比142億8800万円減の1762億3200万円。世界的な燃料価格の高騰も響き、経常利益は76.0%減の27億1700万円、当期純利益は76.5%減の19億5900万円だった。

 21年度の売上高は「収益認識に関する会計基準」等を適用後の数値となっているため、前年度と比較した増減率は記載しなかった。期末配当金は1株30円とし、中間配当と合わせて1株60円を予定している。

 沖電は同日、「緊急経営対策委員会」を設置したことも発表した。決算内容について「世界的な燃料価格の高騰の影響により、非常に厳しい水準」と危機感を示し、緊急的な収支対策を検討、実行していくという。

契約切り替え、低めの気温影響 販売電力量減

 新たな会計基準の適用により、これまで収益の一部としていた再エネ賦課金が、費用である再エネ特措法納付金と相殺されるなどの変化があった。21年度の業績への影響額は331億2800万円の売上高減となったが、「利益への影響はなし」とした。

 販売電力量は前年度比1.5%減の70億3300万キロワット時。

 家庭向けの電灯は他事業者への契約切り替えの他、夏場の気温が前年より低めに推移したことも影響し、3.0%減の28億9500万キロワット時。事業者向けの電力は前年に比べてコロナ禍による影響が弱まったことなどによる需要の増加があったものの、電灯と同様の理由で0.4%減の41億3800万キロワット時とほぼ前年度並みとなった。

 燃料費は47%増の528億6900万円となり、収益を圧迫する大きな要因となった。ウクライナ危機などを背景に石炭や原油の価格が急騰し、為替レートの円安傾向も発電コストの増加に拍車を掛ける形となった。

23年3月期の見通しは「未定」 ウクライナ情勢で不透明

 22年度の電力需要は、前年度比2.6%減の68億5100万キロワット時を見込む。

 一方で、23年3月期の業績見通しについては「ロシア・ウクライナ情勢により高騰している燃料価格の動向が極めて不透明であることから、合理的に業績予想を算定することが困難」との理由から「未定」とした。その上で「今後、業績予想が可能となった時点で、速やかにお知らせいたします」と付け加えた。

 それに伴い、22年度の配当金予想額も利益水準を見通すことができていないことから「未定」とした。

緊急経営対策委員会の設置 役員報酬削減も

 緊急経営対策委員会は急激な経営環境の変化を踏まえ、4月12日に設置された。設置期間は23年3月31日まで。必要に応じて期間は延長する。本永社長を委員長とし、全執行役員と常勤監査役を委員とする。主な検討内容は「緊急的、または継続的な効率化を目指す費用面の対策の検討」「収益面での対策の検討」としている。

 収益面の対策としては、6月以降の特別高圧・高圧自由料金の新規顧客について燃料費調整制度の上限設定を廃止する。

 費用面の対策としては、以下の項目を挙げた。

(1)常勤の取締役、執行役員の報酬を最大10%削減

(2)安定供給を前提に設備の劣化診断の結果等を踏まえ修繕工事を抑制、点検周期を延伸化。修繕工事の内容、費用の精査を従前以上に強化

(3)社内外業務のデジタル化により「おきでんDX」を推進し「攻めの効率化」を加速。常駐での現場対応を遠隔監視化することなどにより業務運営を合理化

(4)支店・営業所の統廃合、各事業所に分散している業務の集中化により業務を効率化

(5)システム開発などで緊急性の低いものは実施時期を再考。建物の貸借面積見直しによる貸借料の抑制を検討

 

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