原油・原材料価格上昇で7割超の企業が「経営圧迫」 沖縄公庫が調査
- 2022/4/29
- 経済
沖縄振興開発金融公庫(川上好久理事長)が2月下旬~3月下旬にかけて原油・原材料価格上昇による県内企業への影響を調査したところ、「収益を圧迫している」との回答が7割超に上った。増加した経費では「燃料費」が最も多く、取り組んでいる対策としては「価格転嫁」が最多だった。一方で、競合先との価格競争や取引先との交渉困難などを理由に価格転嫁ができていない企業も多く、収益の確保に苦慮している現状が浮かび上がった。
調査は新型コロナウイルス感染症からの経済社会活動の再開に伴う需要の急増や、ウクライナ情勢の深刻化で原油・原材料の価格が上昇していることを受け、各産業への影響を調べるために実施した。
2月28日に調査票を発送し、回収基準日は3月11日。景況調査対象企業379社のうち、316社が回答した。回答率は83.4%。
製造業、運輸業で影響が顕著
価格上昇の影響に対する回答では「収益をやや圧迫している」が48.4%、「収益を大きく圧迫している」が25.3%で、合わせて73.1%となった。
業種別で圧迫していると答えた割合は、製造業が100%で最も高く、運輸業が87.5%と続いた。飲食業・宿泊業は「大きく」としたのは16.7%にとどまったが、「やや」を含めると86.7%に上った。その他、卸売業75.6%、建設業71.7%、小売業66.7%、サービス業52.5%だった
増加した経費(複数回答)では燃料費が82.8%で最多となり、原材料費・資材費が67.0%、輸送費が40.8%で次いで多かった。
代替原材料、大量仕入れ… 企業努力で経費削減
価格上昇に対する取り組み(複数回答)では、製品・サービスの値上げや内容量の見直しなどによる価格転嫁が42.9%で最多だったが、「特に対策はない」も35.6%と2番目に多かった。「仕入れ先の見直し」21.5%、「代替原材料の採用」15.0%、「大量仕入れ等による調達コスト減」13.3%、「仕入れ条件変更による価格交渉」9.4%など、経費削減に向けたさまざまな企業努力も垣間見えた。
全社に価格転嫁の実施状況を聞くと、「価格転嫁している」は4.7%で最も少なかったが、「ある程度している」が24.5%、「今後予定している」が22.3%と転嫁の動きが広がっている状況が見てとれる。
一方、「全くできていない」が17.6%、「ほとんどできていない」も21.0%と高い割合を示した。転嫁が思うようにできない理由は「競合先との価格競争」が50.0%で半数を占めた。「取引先との交渉困難」も26.7%に上った。「取引先と長期契約締結済み」も7.8%いた。
「値上げが追い付かない」 窮状訴え
自由記述には産業ごとの事情が色濃く表れた。
ある製造業社は「材料の値上げが断続的であるため、値上げをしても追い付かない状態」という。工場の光熱費が前年比で30~50%増の状況が続き「利益確保が難しい。行政等で対策を講じ、支援をお願いしたい」と窮状を訴えた。
「鋼材や石油製品(塩ビ管等)は少しずつ価格上昇している感がある」としたのは建設業者。4月からアルミサッシなどの建設資材が上がることも予測した。
小売業では「マスコミ等の報道により原油高騰はお客様に十分周知されており、小売単価への反映が比較的スムーズにできているため、収益は安定している」との声がある一方で、「価格転嫁を行なっているが、仕入れ価格上昇が早いため、売値に転嫁する事が間に合わない」とする業者もいた。
その他、「新型コロナに加え、原油高でさらなる追い打ちをかけることのないよう、軽油取引税の当面免除をお願いしたい」(運輸業)、「4月よりプリンタートナー等の値上げが予定されており、経費増加による収益圧迫の可能性あり」(サービス業)、「現時点で業者より話はないが、今後リネン費の値上げが心配」(飲食業・宿泊業)などの記述があった。