沖縄県内商業地、上昇率全国5位 コロナで上げ幅縮小
- 2021/9/22
- 経済
沖縄県は21日、公共事業用地の取得価格算定や相続税、固定資産税評価の目安として用いられる2021年県内基準地地価調査結果(7月1日時点)を発表した。県内商業地の上昇率は、昨年比0.7%で全国5位。住宅地は同1.6%、工業地は同12.1%で、いずれも昨年に引き続き全国1位だった。
今回の調査では、新型コロナウイルスの影響により、全国で商業地が上昇したのは沖縄、宮城、千葉、神奈川、愛知、福岡の6県。住宅地で上昇したか横ばいだったのは、沖縄、北海道、宮城、東京、石川、愛知、福岡など9都道県にとどまった。
地価公示分科会代表幹事の濱元毅不動産鑑定士は、多くの都道府県で地価が下落する中、沖縄は上昇していることについて「商業地や工業地のポテンシャルの高さが評価されており、コロナ収束後の回復に向けた期待値は大きい」とした。
住宅地では、那覇新都心など高価格帯の場所は変動がなかったものの、宜野湾市や西原町、北中城村など値ごろ感がある場所に需要が移ったため、全体では上昇となったという。コロナ禍で世帯収入は下がったが持ち家率は全国一低く、需要が強いことも作用した。
ただ、上昇率は商業地で昨年から5.5%、住宅地では2.4%、それぞれ縮小した。縮小幅は全国最大で、新型コロナが県経済に与えた影響の大きさをうかがわせた。一方、工業用地は需要に比べ供給が少ないことから、昨年から上げ幅を0.5%拡大した。
商業地最高価格は下落
県内での最高価格地点は、商業地は31年連続しての「那覇市松山1丁目1番4」で、価格は1平方メートル当たり125万円。変動率は、19年の37.3%上昇、20年の15.5%上昇から、今年は1.6%下落に転じた。住宅地は5年連続して「那覇市天久2丁目11番9」で33万円。昨年の8.2%上昇から、今年は横ばいとなった。
県内で商業地、住宅地とも平均価格が最も高い那覇市では、商業地平均で0.4%の下落(昨年は10.2%上昇)となったほか、住宅地平均でも0.6%上昇(同6.8%上昇)にとどまっている。
同市の商業地では、県が調査した19地点の中で上昇したのは1地点のみ。12地点は横ばいで、6地点では下落した。観光の影響を受けやすい国際通りや松山地区、首里城などに近い地点では1~2%下落した。下落した6地点の変動率は、新型コロナの影響を受ける以前の19年は9.7%~50.3%の上昇だった。
市町村別上昇率、宮古島市と西原町がトップ
市町村別で最も高い上昇率は、商業地平均は宮古島市(4.6%)、住宅地平均は西原町(6.3%)だった。宮古島市は、コロナ収束後の観光需要回復を見越して島内外の投資意欲が高く、商業地の供給が限られていることから上昇が続いているという。
西原町の住宅地は、もともと人気があるエリアだったことに加え、19年に開業したモノレール「てだこ浦西駅」周辺での開発計画に期待が高まったことが、上昇の理由とみられている。
県内の基準値地点数は41市町村の284地点(住宅地193地点、宅地見込み地5地点、商業地77地点、工業地5地点、林地4地点)で、前年と同数だった。
(記事・写真・図 宮古毎日新聞)