コロナ禍の1年半「沖縄観光の基盤は壊れ続けている」カヌチャ・白石武博社長インタビュー

 
コロナ禍の1年半を振り返る白石武博さん

「国と県による営業妨害がもう1年半も続いているという感覚。沖縄県はコロナ対策としてやってることが最初からあまり変わっていなくて、機能不全と言っても過言じゃないと思う。沖縄観光という産業の基盤が壊れ続けている」

 強い口調でこう語るのは、カヌチャベイリゾート社長で、沖縄県レンタカー協会会長、そして県ホテル旅館生活衛生同業組合の理事も務める白石武博さんだ。そのトーンには憤りもあるが、呆れの果ての諦観も垣間見える。
 コロナ禍に突入して1年半が過ぎ、ワクチン接種が始まって行動制限緩和の議論も出始めているものの、観光業を始め各産業での経済的ダメージは甚大な上に未だ現在進行形で広がってもいる。政府も沖縄県もさまざまな対策を実施してきているが、それぞれの産業の現場で十分な“効力”を発揮しているとは言い切れない。
 この1年半のコロナ禍での県内観光業や行政の対応などについて白石さんに話を聞いた。

国と県による“営業妨害”

 —昨年の時点では「2021年の夏にはある程度回復しているだろう」という、楽観的な見込もありましたが、この1年半振り返ってどうですか。

「国と県による営業妨害が1年半続いてる状態と言っていいと思います。うちで言えば大まかに言ってコロナ以前は全体で年間約50億の売り上げで利益が1%くらいという感じでしたが、昨年の4月から今年の6月までで失った売り上げは約30億円。さらにこの夏の緊急事態の延長に伴う減収は10億円を超えます。生き残るためにコストカットを断行し、さらに多額の借り入れでしのいできました。社員のボーナスもカットせざるを得ない大変苦しい状況です。
 沖縄だけじゃなくて日本全体がそうですが、国は、今観光・サービス業の会社を潰してしまうと大変ということで、金融機関が融資のハードルを下げて、とにかく潰さないようにしようっていう形でお金を貸している。でも借りたものは当然返さないといけません。だから本当のダメージはこれから返済の段階で顕在化してきますので、それは恐ろしいと思います。今後各会社にものすごい債務負担が重くのしかかることは間違いないです。普通の企業が年間売り上げ3分の1とかになっちゃってる状況が1年以上も続いて持つはずありません。これをずっと是としている現状がもう常識から外れてると思います。
 もちろん誰も潰れたいと思っているわけじゃないですから、貸してくれるなら借りて今を生き延びるのはどの企業もみんな同じでしょう。ただし、短い間ならともかく、緊急事態宣言にしても協力金にしても、結局ダラダラと同じことを繰り返してしまっているのが現状で、それが良くないのは目に見えています。本来であれば去年の第1波の時、ちゃんと1回総括した上でデータに基づいて科学的なアプローチでの対策を組み立てるべきでした

緊急事態宣言発出を受けて波の上ビーチも遊泳禁止に

 —2年連続で観光最盛期の夏がほぼ丸ごと消し飛んでしまいました。

「去年のゴールデンウィークから約一月半、うちのホテルは閉館を経験しました。その時は厚労省のクラスターの対策班が『対策ゼロなら約40万人が死亡』という試算をしていたので、『これは大変だ』となったことがこのコロナ騒動のスタートだったと記憶しています。当然、もしそんな規模で死者が出るのなら一大事です。僕らもサービス業で従業員もお客さんもあっての仕事なので、書き入れ時のGW期間でしたが閉館を検討しました。
 本当はその時点で、国や県は一定の法的根拠に基づくメッセージを私たち観光業界に出してくれないといけませんでした。宿泊業には予約というお客様と結ぶ契約行為があるので、正当な理由なく一方的に契約解除できません。その時点でまだ予約は毎日30~40室残っていましたが、ゴールデンウイーク突入直前になってやっと国から『ゴールデンウイーク期間の遊興を伴う宿泊施設に対して休業要請』がでたので、お客様に一件一件連絡をとってキャンセルをお願いして休館しました。とても辛く厳しい作業でした」

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