コロナ禍の1年半「沖縄観光の基盤は壊れ続けている」カヌチャ・白石武博社長インタビュー

 

「死ぬ気はないし、やり続けるしかない」

—出口戦略的な話も出てきているとはいえ、まだなかなか先は見通せない状況です。今後はどのように動いていく予定でしょうか。

「次やるべき話としては海外の事例を眺めても、やはりワクチンを打って免疫を高めた人の行動制限の解除ということでしょう。国からもやっとそんな話が出てきている。要するに防疫型観光の見える化をすることで、『観光客=ウイルスを持ち込む』というイメージを観光産業に携わっていない人たちから何とか取り払いたいという思いもあります。この動きによって若い人たちも行動制限の解除ができるようになるということも併せて発信していくことで、ワクチン接種のスピードアップに寄与するという効果も期待できます。
 県外の友人からは『沖縄に歓迎されないんじゃないの?』『行っていいの?』って必ず聞かれます。こうした気持ちのハードルができてしまっているので、県内で迎える側の県民も含めてワクチン接種を進めれば『安心安全な沖縄になってますよ』ということの可視化がある程度できると思います。その機運を高めるために民間にできることの1つとして、来県前にワクチン接種を済ませるかPCRの陰性証明を提示すれば協力店舗で特典を受けられる『オキナワブルーパワープロジェクト』に取り組んでいます」

「うちの会社のことで言えば例年どおり11月1日から好評のイルミネーションを開始するので、それをどうアピールしつつ誘客の展開ができるかということを今まさに社内議論しています。国全体としてワクチン接種がかなり進む11月にはもう『動いていいんだ』っていう楽しい沖縄をクリエイトしていきたいと思います。カヌチャでは8月からは宿泊のお客様に抗原検査キットの配布も始めました。抗原検査はその場で検査判定が出るメリットもあるので好評です。結構コストはかかりますが、やっぱりお客様にはより安心して旅を楽しんでいただきたいという気持ちがあるので。今年はPCR検査センターの運営に関わったり、抗原検査キットを集めたりで、もう既に僕の商売変わっちゃってるんじゃないかって感じることもあります(笑)

 行きたくても沖縄旅行に行けなかった観光客は去年でいえば1000万人のうち約700万人、今年も上半期ですでに500万人くらいが来られませんでした。本来訪れるはずだったマーケットの人たちが約1000万人以上います。だから『行ってもいい』ということになれば大勢のお客様が沖縄に来て頂けると思います。
 いずれにしても、沖縄の観光はまだ生き残っているし、私たちも死ぬ気はないです。このコロナ騒動が終わった後もつらい状態は何年か続くなとは思っているし、今までやってきた仕事に対してプライドをズタズタに傷つけられていますが、やり続けるしかないんです。沖縄経済の自立のために一生懸命やってきているっていう矜持だけは捨てたくない」

■関連リンク

カヌチャリゾート WEBサイト
沖縄県レンタカー協会
オキナワブルーパワープロジェクト

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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