感染症に強い観光を形に OCVB・下地芳郎会長インタビュー

 
沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長

 5月23日から新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言下にある沖縄県。4ヶ月以上も時短・休業などの行動制限が続くことで観光産業が経済的な打撃を受けているのはもちろんだが、感染リスクがすぐにはゼロにならないことが分かった現在、観光業の今後の在り方にも大きな転換が迫られている。
 沖縄観光の現状と今後の取り組みやコロナとの向き合い方などについて、沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)の下地芳郎会長に話を聞いた。

観光産業は“全身打撲”状態

 ―この1年半を振り返ってみて、現状をどのように受け止めていますか。

「人と人との接触を避けるということがコロナ対策の根本にあるので、やはり観光は大きな影響を受けざるを得ないし、実際に極めて深刻な影響を受けている。入域観光者数は一昨年の1000万人に対し、昨年が258万人で、約5000億円の減収となっている。今年度も厳しく、年度の数字だけでみればある種の慣れもあって昨年度より入域者数や利益は増えてはいるが、変異株や緊急事態宣言の度重なる延長はボディブローのように効いていて、観光産業は全身打撲のようなダメージを受けている

 ―来県自粛のメッセージは沖縄観光のイメージダウンにもつながりかねないと思います。そうした中での観光需要は、どのように喚起していくべきでしょうか。

「感染経路についてのデータを全体の数字からみると、観光客が県内で感染を広げたという数字は、現時点での統計調査では少ない。多い時でも5%いったかどうか。一方で『ウイルスは外から持ち込まれてきている』という県民意識もある。ただ、感染の広がり方は県民、観光客に関わらず多様化しているので、やはり正しい数字に基いて対策を行うことが必要だろう。
 国内移動だと国際線のように検疫義務を設けることができないので、今の日本の法制度下で移動に対する強制力がない中では、移動に伴う感染を食い止めるのは非常に難しいと言わざるを得ない。観光業界の方々もそれぞれ色んな思いはあるんだろうけれど、やはり特に接客業に携わる人は早めにワクチン接種を受けてもらうことが不可欠だし、自分を守るための対策にもなると思う。こうした積み重ねで沖縄での感染者数を減らすことが、沖縄に行きたいと思っている人たちへのポジティブなメッセージの発信にもなるでしょう」

国際通りには空き店舗も目立つ

「コロナ前」には戻れない前提の構造転換

 ―緊急事態宣言が長期化していることで、県内は“慣れ”とか“マヒ”のような雰囲気が出てきてしまってるように感じます。

「緊急事態宣言の長期化が日常化してしまっていることには懸念がある。感染対策の制限を守る人が大半の中、守らない人も一定数いて、両者が同じ場所で並行して生活を送っていること自体がある意味“異常”ということに意識的でないといけない。規制や制限が長期化してくると、対策についてのメッセージがもう届かないということは、これまでコロナ以外のことでも証明されてきた。
 もう『コロナ前に戻す』という認識ではなくて、新しい視点で経済活動や観光のあり方を考えなければいけないと思う。観光業界の希望としては、宿泊施設も増え、那覇空港の第二滑走路もできたので『一昨年並みに観光客に来てもらったら回復できる』と期待している人たちも多いと思う。しかし我慢し続けてコロナが落ち着くのを待ったとしてもすぐに元に戻るわけではないだろうし、社会変化に伴ってニーズも変化してくる。そこで観光産業や業界がどう対応するかが問われており、ハード・ソフト両面での検討と見直しも必要だ。旅行が制限され、サービス業の特性を打ち出すことができないという現状を踏まえた上での対策とビジョンが不可欠で、否応なしに構造転換が求められている

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