キングスはなぜ強い? 西地区5連覇、勝率9割の原動力とは

 
ホームで西地区5連覇を決め、チャンピオンTシャツ姿で観客に手を振る選手たち=23日、沖縄市の沖縄アリーナ

 なぜ、ここまで強いのかー。

 プロバスケットボールBリーグ1部西地区の琉球ゴールデンキングスが地区5連覇を決めた。今も3連勝中で、2021ー22シーズンの現在の成績は46勝5敗。リーグ22チームの中で唯一勝率が9割を超え、今季連敗は1度もない。21年11月中旬から22年3月上旬にかけては、B1の新記録となる20連勝も達成した。

 Bリーグ創設6年目。リーグ初制覇の期待感が高まるキングスの強さの秘訣を探る。

「3ビッグ」でインサイド強化 平均リバウンド数1位

 今季開幕前のオフに大型補強を行ったキングス。母が沖縄出身のコー・フリッピンや東京五輪日本代表の渡邉飛勇ら有力選手を獲得し、さらに身長198センチで強さと機動力を兼備するアレン・ダーラムと日本国籍を取得した帰化選手である身長206センチの小寺ハミルトンゲイリーを迎え入れた。

同時にコートに立つドウェイン・エバンス(左端)と小寺ハミルトンゲイリー(中央奥)、アレン・ダーラム(右端)

 昨季も2季連続リバウンド王のジャック・クーリーやドウェイン・エバンスらの活躍でチームの平均リバウンド数は36.8本とリーグ2位で、インサイドで強さを誇った。しかしチャンピオンシップ(CS)準決勝では疲労が蓄積した第3戦終盤の勝負所で昨季平均リバウンド数1位だった千葉にインサイドを支配され、1勝2敗で力負けした。

 千葉のギャビン・エドワーズ(東1位)やA東京(同2位)のライアン・ロシター、川崎(同3位)のニック・ファジーカスなど、現在のリーグの強豪には必ずと言っていいほど力のある帰化選手がいる。外国籍選手の力強さや速さに対抗できる日本人ビッグマンは一握りのため、外国籍2人(規定で最多2人まで)と同時にコートに立てる帰化選手の存在は極めて大きい。

 今季はエバンス、ダーラム、小寺で形成する「3ビッグ」がキングスの新たな武器となり、インサイドの強化に成功。ダーラムが「他チームの3ビッグと比較すると機動力が高い」(4月23日、島根戦)と自賛するように、リバウンドを支配し、万能性の高いダーラムとエバンスが速攻に走って容易に得点を重ねるという場面が毎試合のように見られるようになった。

重戦車の異名を持つジャック・クーリー

 現在リバウンド数で個人ランキング2位(10.7本)につけるクーリーも健在で、チームの平均リバウンド41.1本はリーグトップ。リバウンドが強いチームはその分、攻撃回数が増え、安心感からシューターの成功率も上がるとされる。「リバウンドを制する者はゲームを制す」。傑作漫画「スラムダンク」に出てくる名言がどこからか聞こえてきそうだ。

ケガ人続出も”手札”の多さで白星重ねる

 3ビッグが強烈な存在感を放つ一方で、攻守ともにその戦術に依存し過ぎない総合力の高さこそがキングスの強みでもある。シーズン開幕直後、生え抜き10年目の岸本隆一はこう話していた。

 「そこ(3ビッグ)だけに頼っちゃだめという危機感は持っている。彼らが中心になっていく中で、まわりの選手もステップアップが必要だと思っている」

 その言葉通り、ガード、フォワード陣の成長が著しい。日本代表合宿に招集されている今村佳太は得意のスリーポイントに加え、積極的なドライブや体を張った守りに磨きがかかり、プロ2年目の牧隼利は状況判断力や勝負所でのシュート精度が上がった。並里成やフリッピンという身体能力の高いガードに加え、小野寺祥太もシーズン後半から堅実なプレーにさらに安定感が増し、攻守に活躍している。

日本代表シューターである島根の金丸晃輔をフリーにさせまいと、しつこく追い掛ける小野寺祥太(右)

 渡邉が開幕前の練習試合で負傷して離脱し、昨年11月には田代直希主将が全治10カ月の大けがで今季中の復帰が絶望的となった。今年2月からは牧も負傷で欠場が続いている。他の選手も欠場せざるを得ない試合も多かった。

 今月24日の島根戦後、エバンスは「今季の自分たちの強みは層の厚さだと思う。色々な相手に対して多くのピースがある」とチームの強さを分析。ケガ人が続出する中でも、個性的で力のある選手が揃ったことで”手札”が増え、戦略の幅が広がり、相手の特性に応じた戦い方ができるようになった。

 特に守備ではハードワークが共通理解となり、誰が出ても極端に強度が落ちることがない。平均失点72.5はリーグで3番目に少ない数字だ。

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