「アクターズ魂を感じてもらえたら」 牧野アンナさんインタビュー(後編)
- 2022/9/29
- エンタメ・スポーツ
スキルの高い歌とダンスで観る人たちを魅了する数々のアーティストを生み出し、一斉を風靡した「沖縄アクターズスクール」が、10月2日に宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで1日限りの「大復活祭」を開催する。このイベントを企画した、元アクターズスクールチーフインストラクターで、AKB48などの振付や演出も手掛けている牧野アンナさんに話を聞いた。後半となる今回は、才能ある子どもたちの「育成」についての考えを中心に語ってもらった。
―大復活祭の公式Instagramで、三浦大知さんがビデオメッセージを寄せていて「アンナさんにしかできないレッスンがある」とコメントして、自分の表現をする1人の人間としてずっと向き合ってくれた、という話をしてたんですけど「育成すること」についてはどのように考えていますか。
「先ず『教える』ということではなくて『引き出す』ということをやらなきゃいけないんですね。アクターズスクール時代に父からは『これからデビューしたりスターになる子たちは、絶対にお前より才能も感性もある子たちだから、お前の感性を押し付けず、その子たちの中にあるものがちゃんと出てくるようにしなさい』と言われていました。打たれ強い子もいれば、打たれ弱い子もいる。褒めすぎると調子に乗って駄目になっちゃう子もいれば、褒めないと駄目な子もいる。だから、1人ずつの性格とかキャラクターに合わせて、そのとき何を伝えて、どういう環境を作ってあげるべきかを考えるのが私の仕事だったんです。
例えば、大知は小さい時から本当に何でもできる子だったんですよ。教えなくても勝手に歌もダンスも上手くなるし。ただ、難しかったのは同世代にライバルが全くいないということでした。すぐできちゃうんで。島袋寛子もそうだったんですけど。そういう子って『歌とダンスってチョロいじゃん』ってなっちゃうんですよ。だから周りの同年代と比較して安心するんじゃなくて、『もっとこうなりたい』っていう高い目標を持たせなきゃいけなかったんです。それでなるべく年齢もレベルも全然上のクラス、例えばISSAたちやB.B.WAVESの実力派の人たちの中に入れて一緒にやらせていたんですね。そうするとまだ自分は足りないんだとか、もっとこうしなきゃいけないんだということを感じられるんです」
―大復活祭では、三浦さんが子どもたちの育成プログラムにも関わっていますね。
「今回の打ち合わせで、初めてちゃんと大知と1対1で話をしたんです。育成に興味があるという大知から『アクターズスクールみたいな教え方をする所ってどこも無いんですよね』って言葉が出たんですよ。技術的な部分だと、歌とダンスを一緒にやるっていう概念が他では全くない。たくさんのダンススクールや芸能スクールあるけど、ボーカルはボーカルレッスン、ダンスはダンスレッスンで、最初から一緒に組み合わせて歌って踊るということはどこもやってないんですね。
それと『エンターテイメントにどう向き合うべきかとか、どういう気持ちでレッスンに取り組まなきゃいけないのかというメンタル面を指導してくれる先生って、僕は会ったことないんですよ。アクターズスクールの育成は絶対残すべきです。アンナさん自身が出来ないんだったら、後継者を育ててください』と言ってくれたことがすごく嬉しくて。やってきたことにちゃんと意味があったんだな、って。辛いな、苦しいなと思ってたけど、この子たちの中にちゃんと教えたことが残ってて、大人になって振り返った時に、あのレッスン凄かったんだなとか、アンナさんは自分のことをちゃんと見てくれてたんだなって思ってもらえていることは、本当に全部が報われたというか」