「アクターズ魂を感じてもらえたら」 牧野アンナさんインタビュー(後編)

 
牧野アンナさん

 ―非常にグッとくる話ですね。そうしたアクターズでの育成経験を踏まえて、現在の音楽シーンに沖縄の才能が飛び出していくためにはどんなことが必要だと思いますか?

「今現在の日本の芸能界は、以前のような“憧れの場所”としての魅力を保っているわけではありません。アクターズブーム当時はCDも売れたし、この番組に出れば全国的にも有名になれるというくらいはテレビの影響力もあった。でも今は細分化したジャンルを、聞き手側がYouTubeやTikTokとかで好きなだけ深く掘り下げていく形態になっているので、チームで一生懸命スキルを上げて努力して、というモチベーションを保って活動していくのは難しいと思います。だから、普通通りにタレントスクールをやって、募集してデビューするというスタイルはもう無理でしょうね。
 沖縄の子たちの育て方って、やっぱりコツがあって。とてもシャイな子たちが多くて、それはもう本当に全然違うんですよ。大阪なんかは『見て見て~!』ってうわーっと押し寄せてきて凄いですから(笑)。一方で、沖縄の子は後ろの方でモジモジしてるし、あんまり自分を出さない。ただスイッチが入ると凄いんですけど、そのスイッチが入るように心を解放させるのが大変です。あとは、今でこそ方言や訛りは全国的に通用しますが、それでもやっぱり使い分けるためのトレーニングも必要だったりして、沖縄の子たちの才能を開花させるまでのステップが実はあるんです。そういうことを踏まえた育成をする場所が無いんだと思います。東京でやってることと同じカリキュラムを沖縄のレッスンでやっても駄目で、沖縄の子には沖縄の子にあった育成の仕方があるんですよね、絶対に」

 ―最後に、イベントに来場する人や配信を視聴するファンの皆さんに向けて一言お願いします。

「先ずはもちろん出演者それぞれのライブ自体が見どころではあるんですけども、先にも出ましたが『The Dream STAGE』という育成プログラムをやっていて、そこにも注目してほしいですね。アクターズスクールのイベントをやるなら、ただ歌って踊ってを見せるだけじゃなくて、やっぱり『育成』を絶対見せたいと思ってました。沖縄の子たちにアクターズスクールのレッスンを体験してもらいたいということで、小学校4年生から高校3年生までの子たちを募集して、70人ぐらいの子たちが小学生チームと中学生以上チームに分かれて出るんです。沖縄ってやっぱり凄いなって、改めて感じましたよ。レッスンには100人くらいが集まったんですが、その中で“声”を持ってる子が何人かいたんです。『こんなにいるの!?』って興奮しました。その子たちのエネルギーやパワーを目の当たりにした時、まさにあの当時のアクターズスクールのレッスンを見てるような感覚になりました。
 今回のイベントはただのフェスじゃなくて、世の中に出て活躍している沖縄出身の才能ある人たちが、沖縄の今とこれからの子たちを応援するから、みんなでガンガン飛び出していこうよ、っていうメッセージを込めています。沖縄ってやっぱ凄いんだよ、ということをたくさんの人に知ってもらえるような、“才能ぐっちゃまぜ”のイベントなんです。30~40代になったB.B.WAVESのメンバーには、20年ぶりにステージに立つ人たちもたくさんいるんですけど、でもその子たちの芯にはきちっとエンターテイメントのイロハみたいなものがやっぱり残ってるんです。レッスンをすると当時の感覚にスッと入っていくので、リハーサルを見てても何のストレスもないんです。そんな“アクターズ魂”みたいなものを、会場に見に来る人たちにも、配信を見る人たちにも感じてもらえたらなって思っています」


「沖縄アクターズスクール大復活祭」は10月2日に開催する。会場のチケットは完売となっているが、配信チケットは販売中だ。出演者はMAX、島袋寛子、知念里奈、DA PUMP、三浦大知、B.B.WAVES、玉城千春(from Kiroro)。また、今回のイベントを記念したコンピレーション・アルバムが9月28日に配信リリースされた。MAXやSPEED、DA PUMA、Folderなどアクターズのアーティストたちによる楽曲29曲が収録されており、Apple MusicやSpotifyなど各種プラットフォームで配信中だ。

■関連リンク
アクターズスクールが1日限りの“大復活” 牧野アンナさんインタビュー(前編)
沖縄アクターズスクール大復活祭 〜本土復帰50周年記念〜
配信チケット情報(イープラス)

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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