波照間島産の黒糖ラムが完成 瑞穂酒造のフロンティアスピリッツが熱い

 
波照間アイランドラム。ラベルには南十字星などが描かれている

 日本最南端の有人島、沖縄県竹富町の波照間島産の黒糖を使った「HATERUMA ISLAND RUM(波照間アイランドラム)」が完成した。黒糖を製造する県内8つの離島ごとにラムをつくる瑞穂酒造株式会社(那覇市、玉那覇美佐子社長)の「ワンラムプロジェクト」の一環で、販売本数は初回生産の800本限定となっている。

 瑞穂酒造が今月21日に那覇市内で記者会見を開き、完成を報告した。今回は同プロジェクトにおける「シングルアイランドシリーズ」の第3弾。このシリーズは2021年7月の与那国島を皮切りに、同12月に伊平屋島の黒糖で作ったラムをリリースしている。

 波照間アイランドラムは1本500ミリリットルで税込4,070円。アルコール度数は45度。沖縄県本部町の桜の花から分離した酵母を使っている。 

会見に参加したワンラムプロジェクトのメンバー=21日、那覇市の沖縄畜産振興センター

グレープフルーツや桃の香味

 石垣島から南西56キロに位置し、人口484人(2022年1月現在)の小さな島・波照間島。明かりが少なく、気流も安定していることから絶好の天体観測地で、国内で数少ない南十字星が見える場所としても知られる。製糖工場は海岸近くに立地しており、島では「27号」という品種のサトウキビが生産されている。

 瑞穂酒造商品開発室の仲里彬室長によると、波照間島の黒糖は与那国や伊平屋に比べて質感が硬い。特徴としては「風味はサトウキビを連想する青っぽい香り。甘味と塩味がどちらも濃厚で、非常にバランスがいい」と解説する。

波照間島産の黒糖(沖縄県黒砂糖協同組合のホームページより)

 ラム1本につき黒糖約450グラムを使用し、10日間程度をかけて発酵させる。その後に2度蒸留し、原酒が完成する。ラムからはグレープフルーツやココナッツ、桃、クリームチーズ、サトウキビジュースなどの香味が感じられる。

 ロックで飲めば香りや味わいの変化が楽しめ、ラムカクテルの代表格であるダイキリではサトウキビのフレーバーがのぞく。ジンジャエールやトニックウオーターとの相性も良いという。

 ラベルのイラストはイラストレーターの千海博美さんがデザインし、南十字星など波照間島の美しい星空を描いた。

コロナ禍、在庫問題解決の一助に

 沖縄がラムの聖地になることを目指すワンラムプロジェクト。コロナ禍で在庫不足に頭を抱えている県内の黒糖関係者は、課題解決への一助になることを期待している。

 会見に参加した波照間製糖の西村憲社長は「コロナ禍で観光産業がダメージを受け、土産品関係の黒糖消費が低迷している」と現状を説明し、「新たな需要の開拓という意味で非常に大きな期待をしています。ラム酒が広く評価され、黒糖の消費拡大に繋がってほしい」と話した。

 西村氏は県黒砂糖協同組合の代表理事も務める。今年1月には、現在放送中のNHKテレビ小説「ちむどんどん」で主演女優を務める黒島結菜さんや元サッカー男子日本代表の高原直泰さん、うるま市出身の人気バンド「HY」が黒糖の魅力を発信するアンバサダーに就任した。西村氏は「いろんな話題を提供しながら、在庫解消に結び付けられるような形に持っていきたいです」と意気込む。

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