キングスはなぜ強い? 西地区5連覇、勝率9割の原動力とは
- 2022/4/29
- エンタメ・スポーツ
終盤の勝負強さ際立つ 立役者は岸本
後半一気に突き放したり、逆転で白星を掴んだりする試合も多いキングス。シーズンを通し、勝負所で際立った活躍を見せているのが岸本だ。ブザービーターで勝利を呼び込んだり、第4Qだけで二桁得点を挙げたりするクラッチシューターぶりを幾度となく発揮し、昨年11月には日本代表にも選出された。
指揮官の信頼も厚い。桶谷大HCはbjリーグ時代にキングスを2度の優勝に導いたが、岸本とは入れ替わりとなり、今季が初めて同じチームで過ごすシーズンとなる。
「外から見てヤンチャなイメージがあったけど」と軽い冗談を挟んだ上で、岸本について「本当に頼り甲斐のあるリーダーに変貌している。彼が最後まで冷静にプレーしてくれるから、それがチームに浸透して、他の選手も冷静でいられるんだと思う」(今月24日、島根戦)と高く評価する。
岸本自身も「ワンプレーの影響力が大きくなるほど、いかに舞い上がらずに冷静でいられるかが大事。試合を通して今起きていることを整理して、何が的確かをいつも考えている」とぶれない精神面をのぞかせる。チームメートとの関係性も「いかに人を巻き込んで良い雰囲気をつくれるか。『岸本とならプレーしたい』と思ってもらえるような言動を意識している」(同23日、島根戦)とリーダーとしての自覚が深く根付いているようだ。
根っこにある強固な「チームカルチャー」
2017ー18シーズンから西地区のトップを走り続けてきたキングスだが、毎年メンバーが変わる中で強さを保つのは容易ではない。今季から9年ぶりにチームに復帰した桶谷HCは、この5シーズンで佐々宜央氏、藤田弘輝氏に続き3人目のHC。5年間所属し続けている選手は岸本と田代の2人のみで、選手の入れ替えも激しい。
それでも強さを維持できる理由は何か。桶谷氏はこう解説する。
「藤田さん、佐々さん、さらにその前は伊佐(勉)HCという素晴らしいコーチたちがチームを成長させていき、その土台がこの球団にはある。球団もファンもチームカルチャーを大事にするのがキングス。今季は選手層が厚くなってはいるけど、それ以前から築き上げてきたカルチャーがあるからこそ今の成績があると思っている」
確かに、これまでのHCが掲げてきた「ハードワーク」や「自己犠牲」などの精神は今の所属選手にも脈々と受け継がれ、堅い守りは今やキングスの代名詞ともなっている。コロナ禍で応援に制限があるにせよ、沖縄アリーナには6千人を超える観客が駆け付け、リーグ屈指のファンの熱狂ぶりはbjリーグの頃から変わらない。
5月13日には、8チームがトーナメント方式で年間王者を争うCSの準々決勝初戦を沖縄アリーナで迎える。積み重ねてきた球団の歴史と、シーズンを通して磨き上げきたチーム力を武器に、Bリーグ初制覇という新たな歴史を切り拓くことができるか。これまで西地区で優勝リングを手にしたチームはいないが、強豪が揃う東地区の上位チームにもレギュラーシーズンで多くの勝利を重ねてきた今季のキングスを見ていると、期待を抱かずにはいられない。