「沖縄経済を少しでも盛り上げるよう貢献したい」 日銀那覇支店の小島新支店長

 
新たに支店長として就任し、意気込みを述べる小島亮太氏=19日、日銀那覇支店

 日本銀行那覇支店の新支店長に就任した小島亮太氏と、前支店長の飯島浩太氏が19日、那覇市で会見を開き、今後の意気込みを語ったほか、飯島氏は在任中の思い出を振り返った。小島氏は「沖縄県内をくまなく回り、経営者の方や経済団体、行政の方々からさまざまなお話をうかがい、手触り感をもって的確に県内の経済情勢判断をやっていきたい。そうした中で、沖縄県経済を少しでも盛り上げることができるように、微力ながら貢献したい」と語った。

 また、「(香港事務所長などで)香港に2度駐在し、アジアから日本経済を見るということを何回かしてきた。沖縄は、香港と東京の中間にあるので、また違った視点で経済金融について考える機会があるのではないか」と述べた。

 沖縄では、新型コロナの影響で2020年2月から入域観光客数が急激に減少。同年5月にはわずか4万4000人(19年同月は83万4900人)となった。観光客数の減少にともなって、同支店の県内景況判断も同年5月には「厳しさを増している」まで引き下げられた。

 その後、観光客数は一進一退を続けながら少しずつ回復する傾向を強める。行動制限が解除されたこともあり、昨年のゴールデンウイーク以降は回復が鮮明になって、同支店の景気判断も直近4カ月は「回復している」が継続中だ。

飯島前支店長 「観光需要、まだまだ伸びる余地ある」

 飯島前支店長は、着任当初について「2021年8月から約2年間、那覇支店長を務めさせていただいた。2年前はコロナ禍で緊急事態宣言が発令されている真っ最中で、沖縄経済は非常に厳しい状況だった。個人的にも、対面での活動が制約されており、支店の業務形態に気を遣う必要がある、ストレスの多い状況だった」と振り返った。

 その上で、「昨年の春以降、行動制限のない状況が続く中で、沖縄経済ははっきりと改善に向かった。個人的にも、対面での活動ができるようになり、当地の数多くの方々と知り合うことができた。大変ありがたかった」と力を込めた。プライベートについては、昨年のNAHAマラソンに出場したことなどを明かした。

離任に当たり、会見で任期中を振り返る飯島浩太前支店長=19日、日銀那覇支店

 沖縄経済のポテンシャルについては「着任当時は、(コロナ禍で)観光産業が壊滅的な打撃を受けていたが、企業経営者の方々と話すと『確かに今は厳しいが、コロナの影響が明ければ確実に需要は戻ってくる』と確信を持って取り組んでいるのが印象的だった。実際に、観光需要は力強く回復している。まだまだ、観光需要が伸びる余地があると思う」と強調した。

長い目で見ると、沖縄経済は大きな転換点

 飯島前支店長は、課題としては「得意分野の観光では、人手が足りない中でどうやって高まる需要をうまく取り込んでいくかが重要になる。少し長い視点でみると、沖縄経済は大きな転換点を迎えている。10年ほど前までは、沖縄での課題は全国に比べると高い失業率で『人はいるが仕事がない』ということだった。これから先は、『仕事はたくさんあるが人がいない』ことが課題となる」と指摘した。

 また、「重要なことは、希少な資源である労働力をいかに有効に使っていくか、企業経営者にもマインドの切り替えが求められる。企業経営者からすると競争が厳しくなる話で大変な面もあると思うが、うまく乗り切っていけば県経済の稼ぐ力、生産性が高まっていく。それを期待している」と力を込めた。

 このほか、観光以外にも産業の裾野を広げることが経済の強靱性を増やすと指摘。「IT産業を誘致したり、国際物流拠点を作っていこうとしたり、さまざまな取り組みが行われている。そうした取り組みを着実に進めていくことが大事」と述べた。

 飯島前支店長は、12日付で日本銀行本店企画局の審議役に就任しており、「責任の重い仕事が待っていると覚悟しているが、日本経済、ひいては沖縄経済のために微力を尽くしたい。当地でいただいたご縁を大事にしながら、一沖縄ファンとして、沖縄を応援し、関わり続けていきたい」と語った。

(記事・写真・図 宮古毎日新聞)

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