子牛価格下落で国支援、1頭1万5000円 農家「焼け石に水」

 
飼料価格の高騰などで子牛価格は下落している(資料写真)

 沖縄県内などで肉用牛の子牛価格が下落していることを受け、4~6月に競りで落札された黒毛和種の子牛1頭当たり、1万5000円を支援することが、21日までに決まった。県内子牛の平均価格は、7月に直近10年の最安値となる40万円台まで下落している。宮古和牛改良組合の荷川取広明組合長は、「支援はありがたい。ただ、焼け石に水」と述べ、地域に合わせた支援を求めた。

 7月の肉用牛競りで、子牛の価格は県内平均48万3796円(速報値・税込み 前年同月比11万7151円減)まで下落。今回の支援は、国による「和子牛生産者臨時経営支援事業」で、子牛取引額が60万円を下回った場合に発動されるもの。60万円と取引価格の差額分について、75%が生産農家らへ補填(ほてん)される。

 県内平均だけで適用した場合、7月分で計算すると約8万7000円の補填が受けられることになる。しかし、沖縄は「九州・沖縄ブロック」で算定されるため、4~6月のブロック平均価格57万9942円が取引額として適用される。その結果、補填額は九州の他県と同額の1万5000円となった。

 沖縄は、全国に比べて雌子牛の価格下落幅が大きいとして、県は独自支援策「県和牛子牛価格安定特別対策事業」も実施。雌子牛1頭当たり、4月で2100円、5月は4万8500円、6月は7万1200円の交付が決まっている。ただ、宮古島など雌子牛価格が、7月競りで40万円を下回った場所もあり、非常に厳しい状況だ。

 今後の見通しとして荷川取組合長は「価格下落の一番の要因は資材高騰のため、今回は先が見えない。今はまだ耐えている状態だが、しばらく続くと離農する人も出てくるのでは」と述べた。

 その上で、「沖縄は単独ブロックに分けてほしい。全国的な問題だから特策を講じ、なんとかしてほしい」と、国に対する要望を語った。

定例会見で発言するJAおきなわの前田典男理事長=20日、那覇市

 JAおきなわ(前田典男理事長)も、これまで沖縄を単独ブロックとするよう求めているが、実現していない。前田理事長は本紙の取材に対し、「市場で買い付けを行う本土の肥育農家も、飼料などの資材高騰で限界に達している。国家施策としての抜本的な支援、救済措置を行わない限り、離農や廃農は避けられない状況だ。とりわけ県内の(ぜい弱な)畜産農家は苦しい状況にある」と話した。

 その上で、8月1日から農林水産省など関連省庁などを訪れ、県内畜産農家の窮状を訴えると語った。

(記事・写真 宮古毎日新聞)

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