コロナ禍でレンタカー台数半減 ビジョンなき措置は「絶望に近い」

 

「観光業界はずっと非常事態ですよ。レンタカーでもとうとう閉める事業所も出てきたし、また『まん延防止措置等重点措置』にしたことで、年末から見込んでいた売上は吹っ飛びました」

 怒りとも呆れともつかないトーンで話すのは沖縄県レンタカー協会の白石武博会長。新型コロナウイルス感染者が減少した昨年末、沖縄への旅行者が増加して一時期はレンタカーが足りない状況にもなった。しかし、年明けの感染者激増による“まん防”発出でまた人流はストップ。各社航空便も減便され、レンタカーの予約キャンセルも相次ぎ、現在は再び車両が「ダブついている」という。

 沖縄の基幹産業である観光業が、コロナと政府・県の措置に振り回され続けて2年が経とうとしている。

増車をしたら「割を食う」

 政府や県の感染対策による渡航抑制が繰り返された2020年度は、ゴールデンウィークや夏のハイシーズン、年末年始の繁忙期がことごとく潰され、続く21年度もGWと夏に制限がかけられた。県レンタカー協会の試算によると年間約180億円の売上が失われたという。

 東京商工リサーチなどによると、観光客減少によって沖縄県内を拠点にレンタカー事業を営むトラベルレンタカーを含む計3社が東京地裁に民事再生法の適用を申請している。

 県内のレンタカーの車両登録台数は2019年度は41,155台だったが、コロナ禍の影響で20年度には半数以下の18,778台まで落ち込んだ。2021年入っても緊急事態宣言発出が繰り返されたこともあり、年末までは台数不足になることはなかった。

 昨年11月に人流抑制などの制限が解除されてからは、観光客数が回復傾向になったことで今年のGWや夏場を見越して増車の構えを見せる事業所もあったが、オミクロン株流行によってまたもや経済活動に“急ブレーキ”がかかった。「年末に少しでも台数を確保しようと動いていた事業者が割を食う形になりました」(白石さん)

 コロナ禍の影響で半導体が不足していることや、海外の生産工場がロックダウンしていることなどが背景にあり、各車メーカーが新車を減産しているため、車両を確保するためには納期が3~6ヶ月かかるのが現状だという。いつどのタイミングで“まん防”や緊急時短宣言が発出されるか分からない中で、増車・減車の判断をすることも困難な状況だ。

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