新型コロナ再拡大で厳しい状況 日銀県内短観

 

 日銀那覇支店(一上響支店長)は1日、3月の県内企業短期経済観測調査結果を発表した。企業の景況判断を示す業況判断DIは全産業でマイナス21となり、昨年12月の前回調査から2ポイント悪化した。同支店では、「新型コロナウイルス感染症の再拡大の影響を受けて下押し圧力が強まり、厳しい状況にある」と分析している。

 好調だった沖縄観光を背景に、県内の業況DI(全産業)は大幅なプラス値を維持していた。しかし、新型コロナの影響で2020年3月期に8年ぶりのマイナス値となり、同年6月期にはマイナス35まで下落。その後は、政府の観光刺激策である「GoToトラベル」事業などにより、徐々に持ち直しの動きを見せていた。

 今回、業況DI(同)が再び下落に転じたのは、昨年末からの「第3波」で「GoToトラベル」が全国一斉に停止されたほか、国や沖縄県が緊急事態宣言を発出したことも影響したとみられる。

 業種別では、非製造業の「宿泊・飲食サービス」が前回調査比13ポイント悪化のマイナス75、バスやタクシー事業などを含む「運輸・郵便」は同8ポイント悪化のマイナス58などとなった。観光客向けの土産用食料品を含む製造業は、同じく8ポイント悪化のマイナス16だった。

 建設業は、プラス38と好調を維持した。ただ、同支店は「製造業や卸売業からは建材関連の受注が減少したとの声も聞かれる。建設業で短観のサンプルとなっている相対的に大きな企業が引き続き好調だが、それ以外の企業では受注残が失われてきている可能性もある」と指摘した。

 先行きの業況DIは、全産業でマイナス13となり、直近よりも8ポイントの改善が見込まれた。もっとも、同支店は「足元の全国的な感染の再拡大は、あまり反映されていないので、注意が必要」としている。

 企業の設備投資計画 (全産業)は、2020年度の前期比14.4%減から、2021年度は同14.6%増になる見通しとなった。一上支店長は「新型コロナで20年度に投資を控えたものを、21年度に行うとの声が多く聞かれた」と述べた。

全国では大企業の製造業が改善傾向

 同日に発表された全国の短観では、大企業の製造業が前回調査比15ポイント改善のプラス5となり、新型コロナの感染が拡大する以前の2019年9月と同水準まで回復した。一方で、宿泊・飲食サービスを含む大企業の非製造業は前回調査から4ポイント上昇したものの、マイナス1にとどまった。

 同支店では、沖縄では製造業の割合が低いこと、県内の製造業は観光関連の側面もあることなど、沖縄と全国の違いを指摘している。

(記事・写真・図 宮古毎日新聞)


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