鶏に優しい“平飼い”養鶏場、21歳大学生が起業 うるま市
- 2021/4/2
- 経済
「養鶏の現状を変えたい」ー。横浜国立大学経営学部在学中で神奈川県出身の宮崎将明さん(21)=うるま市在住=が、沖縄の養鶏場でのインターンシップの経験から「鶏と養鶏家を共に幸せにしたい」という理念を持ち、鶏卵・養鶏業界の諸課題を解決するべく「EggSmart株式会社」を起業した。動物に優しい「平飼い」の養鶏場経営や、他の養鶏場に経営ノウハウを伝える事業で養鶏界に風穴を空ける考えだ。「うるまの平飼い卵」ブランドを通して、弱冠21歳の若い養鶏経営者は、日本における「平飼いのリーディングカンパニー」を、うるま市から目指す。
うるま市・徳森養鶏場で学ぶ
平飼いとは、地面に放し飼いにする養鶏の方法。宮崎さんによると、日本では鶏にとって窮屈なケージ(鳥かご)飼いが主流で、平飼いをする養鶏場は少ないという。一方、海外では、動物福祉の観点からケージを使わず飼育するケージフリーが加速している。「もともと工場畜産に疑問がありました。ケージの中で鶏の自由を奪ってまで、安い卵を食べたいとは思えなかったのです」と問題意識を語る。
とはいえ養鶏の現場を知らなかった宮崎さん。まずは現状を知りたいと思い、好きな沖縄でインターンシップ先を探していたところ、若い経営者が手掛けるうるま市の「株式会社徳森養鶏場」に出会った。大学1年の春休みに働かせてもらった。
宮崎さんは、インターンシップの経験を元に「鶏と養鶏家が共に幸せになれるビジネス」を考案。その後、養鶏場の起業準備として神奈川の会計事務所と東京のベンチャーキャピタルで半年間ずつインターンシップを重ねた。こうして2020年9月にうるま市に移住、徳森養鶏場の協力で遊休化した一部施設を借りて鶏卵の生産・販売を始め、「うるまの平飼い卵」のブランドを立ち上げた。
平飼い飼育の現状
動物保護団体の認定NPO法人アニマルライツセンターによると、欧州では50%以上、米国でも20%以上がケージフリーでの飼育であるのに対し、日本では9割以上がワイヤー製のケージで鶏を飼育している。そのため、現状、市場で購入できる卵のほとんどがケージ飼育で生産された卵である。