「県経済、復帰後最大の落ち込み」 NIACマイナス9.8%予測
- 2021/2/26
- 経済
NIAC(南西地域産業活性化センター)は25日、2020年度の県内総生産は実質で前年度比9.8%のマイナス成長となる「本土復帰以来、最大の落ち込み」との予測を発表した。新型コロナウイルスの感染拡大で観光収入が前年度から大幅に減少するほか、個人消費、民間住宅投資なども減少と見込まれるという。
報告で、NIACは20年度の県経済について「インバウンドの増加に牽引され、全国の中でも好調に推移していた県経済は、人の移動制限や外出自粛で本県の主要産業である宿泊・飲食―ビス業などのサービス業を中心に業況悪化し、全国の中でもより厳しい状況なった」と分析した。
内閣府沖縄総合事務局のデータによると、県内総生産は2012〜2017年度に年平均で実質約2.5%のプラス成長を達成。好調だった観光などが背景とみられ、同期間の全国の成長率である実質約1.2%を上回っていた。一方で、20年から始まった新型コロナの感染拡大は観光産業などを直撃している。今回の発表で、新型コロナが県経済に深刻な打撃を与えていることが改めて明らかになった。
項目別では、観光収入が含まれる「移輸出」が前年度で実質48.6%の減少と見込む。新型コロナの感染拡大で入域観光客数が大幅に減少していることが影響した。2020年(暦年)の入域観光客数は前年比63.2%減の373万6600人にとどまる。NIACは、年度ベースでは前期比73.6%減の250万人と入域観光客数を見込んでいる。
県内総生産の6割を占める民間最終消費支出(個人消費)についても、「食料や家電製品などは外出自粛や特別定額給付金の支給で増加したものの、外食、交際費、旅行、交通費、被服、教育関連などが外出自粛や所得環境の悪化による消費マインドの低下などで減少する」として、前年度比で実質5.1%程度の減少と予測した。
民間住宅投資は「貸家を中心に前年度から減少基調にあったが、新型コロナの感染拡大などで貸家着工がさらに減少し、持家や分譲も所得環境の悪化などから減少する」として前年度比で実質17.3%程度の減少とした。
公的固定資本形成(公共投資)は、「国や県関係の工事は底堅く推移したものの、沖縄本島中北部地域や離島の市町村、その他公共的団体の工事が低調となり、全体では減少する」と分析し、前年度比で実質3.6%程度の減少と見込んだ。
(記事・宮古毎日新聞)