コロナ禍でレンタカー台数半減 ビジョンなき措置は「絶望に近い」
- 2022/1/28
- 経済
「このままだと今年1年ずっと不足する」
「沖縄の観光を基幹産業とするならば、レンタカーもバスもインフラとして扱って事業者への補償をすべきです。そうでないと、これから正常に戻ったとしてもおそらく今年1年ずっと車が足りない状態が続くでしょう」と白石さんは語る。
さらに「バス会社も同様に大打撃を被っています」と指摘する。修学旅行の需要が見込まれる2~3月は21年度の「最後の望み」だったが、オミクロン流行でほとんど消し飛んでしまったという。当然、修学旅行生を受け入れる観光施設やホテルにも影響は及ぶ。
現在の感染対策の指標が感染者数の抑制を優先していることで、オミクロン株に移行してからの感染症そのもののリスクについての再検討がなされていないと白石さんは指摘する。
もはや需要喚起ではリカバリーできない
「基本的な考え方を変えていかなければならないんです。そのためにも、観光関連のインフラである交通、施設、ホテルなどがどんな状態でどれほどのダメージを受けているのかを定量的にみて対策を組み直さないと、経済の復興も回復も出来ません。
観光客数だけを見て需要喚起、という方法ではもう全然リカバリーできない状況まできている現実をきちんと捉える必要があります。2年が経とうとしているのに、国も県もこの先どういう政策をとっていくのか具体的なビジョンもない今の状態は絶望に近いと言ってもいいです。
これまでとはやり方を変えるべき段階にもうとっくに入っているので、早急に対策の指標の見直しをすべきです」
玉城デニー沖縄県知事は、1月いっぱいが期限となっていた“まん防”の適用期間について3週間の延長を政府に要請する方針を示している。県内の感染者数は連日1,000人を超えており、感染対策の継続が必須なのは言うまでもない。
同時に、県は“まん防”の延長が県経済に及ぼす影響とその後の補償のあり方や、オミクロン株の特性を踏まえた上での解除・緩和の基準など、感染拡大を防ぎながら社会・経済活動の復興と持続を並行するための出口戦略をしっかりと示して取り組まなければ、観光の現場は疲弊し続け、従事者の観光業離れは止まらなくなるだろう。
この2年、「観光立県」という言葉の意味が問われ続けている。