沖縄の不動産市場動向指数、上昇感を維持

 

 沖縄県不動産鑑定士協会(髙平光一会長)は20日、県内の不動産関連業者を対象に地価と不動産取引の動向に関するアンケート調査・集計を行った県不動産市場動向指数(DI)を発表した。11月1日時点の地価が5月の前回調査と比較して「上昇した」と答えた割合から「下落した」とする割合を引いた地価動向DIは、商業地が28.2、住宅地も26.4と、いずれも上昇感を維持した。一方、軍用地はマイナス13.8で下落傾向を示した。

 同協会は、「(コロナ禍による落ち込みから)プラスに転換した前回調査から回復傾向の実感値としてプラスが継続している。観光需要の回復への高い期待感が、市場全体として地価動向に前向きな傾向が現れた結果」と評価した。

 商業地のDIは前回調査比で12.0ポイント上昇した。住宅地は「横ばい」の割合が増えたことなどから、前回の36.1から同9.7ポイント低下したもののプラスを維持した。軍用地は前回のマイナス19.8から同6.0ポイント回復したが、プラスには転じなかった。

 今後半年間の予測値では、住宅地、商業地はさらに上昇感が強まり、軍用地も上昇に転じるとした。住宅地と軍用地の回答では「横ばい」が最も多かったが、商業地では「やや上昇」が最多で、住宅地よりも回復が遅れていた商業地に対する期待の高まりが伺えるという。

 今回は、トピックとして半年前と比較した物件の売り出しから成約までの期間動向についての調査も実施。その結果、宅地は県全体で12%が「短くなった」、50%が「概ね変わらない」、38%が「長くなった」と回答した。

 同じ調査をした18年11月では、県内の地価が上昇基調だったことを背景に、県全体で48.6%が成約までの期間が「短くなった」と回答する「売り手市場」だった。今回の調査では制約期間が長引く傾向にあることから、同協会は「買い手市場」になっていると分析している。

 現状について、同協会は「強気な価格設定は売却までに時間を要することが想定されるため、適正な価格設定の重要性が増している」との見解を示した。

 マンションでも、県全体で「短くなった」が6%、「概ね変わらない」が51%、「長くなった」が42%となり、前回とは逆の買い手市場となっている。

 戸建住宅は、県全体で「短くなった」が10%、「概ね変わらない」が55%、「長くなった」が35%だった。一方で、先島地区では「短くなった」(18%)との回答割合がやや多かった。他地域との比較で、県内外からの住宅需要が認められることから、適正な価格を設定すると売りやすい状況にあるという。

 軍用地では「長くなった」が31%となり、ややヒートアップしていた軍用地取引も、強気の価格設定では売りにくくなっていることが推測されるとした。

 調査は県内の不動産関連業者1409社に調査票を発送し、有効回収数は268社。回収率は19.0%。詳細は同協会ホームページで公表している。

(記事・写真 宮古毎日新聞)

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