与那国に日本最西端のコールセンター開所 雇用創出で人口増へ

 
コールセンターの様子(アクトプロプレスリリースより)

 株式会社アクトプロ(東京都)は4月4日、与那国島(与那国町)に日本最西端のコールセンターを開業したことを発表した。コロナ禍で昨年4月から休業している与那国島で唯一のホテル「アイランドホテル与那国」を活用している。現在は県外からのスタッフ12人で業務に当たっており、同社は「現地での雇用を創出し、全国からスタッフを誘致することで人口増加を目指す」としている。

 ホテル1階ロビーなどの約130平方メートルをコールセンター執務室とする他、客室は従業員の宿泊部屋として活用する。「東京や大阪と同水準の報酬」として時給を1100円~3000円に設定しており、雇用創出へのメリットとして押しだす。

 スタッフは今月から順次与那国町入りし、5月1日までには31人体制となる予定だ。与那国町内を含め全国からスタッフを募っており、将来的には200人程度への拡大を目指す。

 4月10日には開設記念セレモニーを開催する予定で、与那国町の糸数健一町長やアクトプロの新谷学代表があいさつに立つ。

離島の課題をコールセンターで解決

 同社広報担当の上田直輝さんは、離島が全国的に共通して抱える問題として「働く場所が少ないために人口が流出したり、移住・定住に結び付かなかったりする現状があります」と指摘する。

 コールセンターの業態はスタッフ体制や設備が整えば、都市部や地方など、場所を選ばずに営業できるというメリットがある。それに加えて稼働には一定程度のスタッフ数が必要となるため、直接的な雇用数増大にもつなげることができる。

 同社の新谷代表が以前旅行で与那国島を訪れたことが、今回のコールセンター設置のきっかけとなったという。観光地化されていない手つかずの自然や、人々とヨナグニウマが共存している風景など、島に魅せられた。町民と話を重ねる中で、コロナ禍での観光客減や人口流出といった社会課題を共有することとなり、今回のセンター設置に至った。

コールセンターとして活用されている「アイランドホテル与那国」(アクトプロプレスリリースより)

開けた職場で地域からの信頼を

 「20代や30代の若いスタッフが与那国島に移り住むことに対して、島のみなさんからも歓迎の言葉をかけてもらっています。しかしその一方で、会社としてしっかりと信頼を頂けるように努力していかなければなりません」と上田さんが話すように、地域社会に溶け込みながら事業を長期的に継続していくことにも重きを置いている。コールセンター業務は屋内で行われるため、閉鎖的なイメージを持たれがちだという。「仕事の様子がなるべく外から見えるようにしていきながら、積極的に地域活動にも取り組んでいきたいです」と、顔の見える職場を目指す。

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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