「リトル沖縄」大阪市大正区を街ブラ“国内版沖縄移民”を考える

 

改めて「沖縄と本土」を考える

 大正区で「リトル沖縄」に触れたことを機に、改めて「沖縄と本土」を考えたいと思います。かつて沖縄県民は、その文化・風習の違いやさまざまな背景から差別されてきた時代も長く、飲食店などでは「琉球人お断り」との張り紙もされていたことも多かったと聞きます。

 概ね、今の60代以上の人には県外に出ると沖縄県出身者であることを隠したケースも多かったそうです。しかし時代は変わり、だいたい今の40代以下の感覚としては、沖縄県出身だということに誇りを持ち、むしろ「おいしい」と感じて積極的にアピールしていきたい人も多いはずです。

 正直言うと今回、サンクス平尾は寂れていて、期待していたほど「沖縄感が出て盛り上がっている」という訳ではありませんでした。それでも私が嬉しかったのは、東シナ海や太平洋を越えた遠く離れた土地に「シーサーがあって守礼門の絵があって、沖縄そばが食べられる」というこの事実を以って、少なくとも私にとっては壮大な歴史やロマンを感じられた、ということでした。

 個人や世代によって「恥ずかしい」とも「誇らしい」とも、さまざまなグラデーションがありますが、多くの人が共通して持っているのは「沖縄の人間だ」という意識だと思います。県外でシーサーを見つけたら無意識的に指をさして喜んでいる自らに気づいた時に、ふと心が立ち止まって、アイデンティティを考えてしまうのでした。

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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