【那覇市長選】翁長雄治氏が出馬表明「日本一子育てができる街に」

 
支持者の前で出馬への決意を述べる翁長雄治氏=9月26日、那覇市古島の教育福祉会館

 任期満了に伴い、10月23日に投開票される那覇市長選に向け、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する「オール沖縄」勢力が支援する無所属新人で前県議の翁長雄治氏(35)が9月25日、那覇市松尾のホテルコレクティブで会見を開き、正式に出馬を表明した。3人の子を持つ子育て世代として、子どもを取り巻く環境整備を最重要政策に掲げ、「那覇市を沖縄一、日本一子育てができる街にしたい」と意欲を見せた。翁長氏は前県知事、前那覇市長の故翁長雄志氏の次男。

 翌26日には那覇市古島の教育福祉会館で事務所開きを行い、オール沖縄の議員団や支持者らが出席。選挙母体である「ひやみかち・うまんちゅ市民の会」の宮里千里会長や、共産党の赤嶺政賢衆院議員らが挨拶を述べた。

子育ての”循環”をつくる

支持者とグータッチする翁長氏=9月26日

 市議、県議を合わせた5年間の政治活動の中で「子育て真っ最中」をキャッチフレーズに掲げてきた翁長氏。出馬表明会見でも真っ先に子育て環境に触れ、「子どもを育てるに当たって、親は心にゆとりがある時、ない時がある。それで子どもたちを叱るトーンや言葉が変わったりしてしまう。子育ては綺麗事じゃないんです」と言及した。

 その上で「私たちがゆとりを持って、しっかり子どもと接することができる、愛情を注ぐことができる社会をつくらないといけない。子育て真っ最中の私だからこそ、大人が何を求めてるかを一番理解していると確信しています。那覇市を日本一子育てができる街にし、ここで育った人がまた那覇で子育てをするという大きな循環をつくっていくことが、私の大きなビジョンです」と力を込めた。

辺野古移設問題も争点

 自身が考える争点を問われると、暮らしや経済振興、福祉などを挙げた上で、辺野古移設問題についても「当然争点に入ってくると思っています」と答えた。

 その理由について「辺野古の問題は国防の問題であって、国全体の問題です。政府が『沖縄の問題』『辺野古の問題』とどんどん移設問題を矮小化していく中で、『那覇は辺野古を有してないから関係ない』というスタンスを沖縄の政治家がとってしまえば、政府の矮小化を認めてしまうことになる」と説明。那覇軍港にオスプレイが飛来したり、那覇上空を米軍機が飛んだりすることにも触れ「那覇にも関係がないわけじゃないんです。私は明確に辺野古移設に反対です」と強調した。

 オール沖縄が辺野古移設を巡って国と対立関係にある中、どう予算を獲得していくかについては「政府と強調しないと予算が下りてこないという状況がそもそもおかしい」「沖縄だけが基地か経済かと問われること自体が、政治の堕落だと考えています」と沖縄関係予算を縮小している国の姿勢を強く批判。「行政としてある予算を最大限活用しながら、市民と協働で街づくりをしていきたい」と展望した。

城間市長に秋波「同じ流れの中でやっていきたい」

事務所開きで支持者とガンバロー三唱する翁長氏=9月26日

 那覇市長選を巡っては、自民党県連が擁立した無所属新人で前副市長の知念覚氏(59)=自民、公明推薦=も出馬を予定している。そんな中、これまでオール沖縄の立場で活動してきた現職の城間幹子市長が翁長、知念の両氏とも政治、行政運営の面で縁が深いことから、どちらを支援するか態度を表明しておらず、動向が注目されている。

 翁長氏は「与党市議、県議として、同じオール沖縄の仲間として市長を支えてきたつもりです。私は城間幹子さんの系譜を受け継ぎ、歩んでいくつもりです」と後継であることを強調。「政治家の決断ですので、最終的な決断を見守っていきたい」としながらも、「ぜひ、一緒にオール沖縄の大きな流れの中でやっていきたいと考えています」と秋波を送った。

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長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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