【参院選】”泡沫候補”が結果を左右する? 過去最多タイの5人が立候補した沖縄選挙区
- 2022/7/8
- 政治
投開票が2日後に迫った参議院議員選挙沖縄選挙区には、改選1議席を争って過去最多タイの5人が立候補している。届出順に「オール沖縄」勢力が推す無所属現職の伊波洋一氏(70)と自民新人で公明推薦の古謝玄太氏(38)が事実上の一騎打ちを繰り広げているが、当選の可能性が低いその他3人の集票数も見逃せない要素だ。NHK党新人の山本圭氏(42)、参政党新人の河野禎史氏(48)、幸福実現党新人の金城竜郎氏(58)の主張は伊波氏、古謝氏と重なる部分もあるため、浮動票を中心に票が割れる可能性もある。
当選ラインは28~29万ほどか
沖縄選挙区の投票率は、戦後沖縄が初めて国政選挙に参加し、「特別選挙」として行われた1970年の83.64%が最高。1980年代半ばから下落傾向となり、2007年の補欠選挙では過去最低の47.81%にまで落ち込んだ。前回2019年の第25回では過去2番目に低い49.0%となった。
今回、6月21日時点の選挙人名簿登録者数は1,182,969人。仮に前回の投票率を当てはめた場合、投票数は約58万票となり、当選ラインは28~29万票ほどになると見られる。
これまで沖縄選挙区で5人が立候補したのは1998年の第18回のみ。その時は革新系候補で現職の島袋宗康氏が243,488票を獲得し、次点だった自民新人の西田健次郎氏と5,158票差で当選した。3位の金城浩氏、4位の金城宏幸氏、5位の又吉光雄氏が合わせて53,804票(小数点以下は切り捨て)を獲得しており、結果に影響を与えたという見方もできる。
未知数の参政党 全国で勢い
NHK党は全国比例で1議席を獲得した2019年の前回選挙(当時は「NHKから国民を守る党」)でも磯山秀夫氏を擁立し、11,662票を獲得。幸福実現党の金城氏は16年選挙に出馬して9,937票を得た。
そんな中、最も未知数なのが参政党だ。「投票したい政党がないなら、自分たちでゼロからつくる。」をキャッチフレーズに掲げ、2020年に結党した。国政選挙に候補者を擁立するのは今回が初めてだが、比例区で議席を獲得する可能性が報じられるなど勢いに乗る。ほぼSNSや動画サイトのみで知名度の拡大を図っているが、沖縄選挙区でも演説会に幅広い年代が集まっていた。仮に河野氏が数万票を集めれば、大勢に影響を与える可能性は十分にある。
安全保障、物価対策で主張に重なりも
金城氏と河野氏の主張は、有力候補2人の政策と重なる部分もある。
金城氏は以前から中国や北朝鮮の脅威を訴えており、河野氏の所属する参政党も「専守防衛では人命と国土を護れなくなっている」として、いずれも防衛力の強化を主張している。古謝氏は南西諸島で進む自衛隊の配備強化に理解を示しており、票が一部割れる可能性がある。特に参政党の政策は保守色が強く、保守票をどれだけ取り込むかが焦点となる。
一方、物価高騰で生活苦が顕在化してる中、金城氏は伊波氏と同じく消費税減税を訴える。また、河野氏は米軍基地問題について「県民を二分する形を取りたくない」として”保守と革新の大調和”を掲げており、一部経済界の離脱で革新色が強まる「オール沖縄」票に食い込む可能性もありそうだ。