「沖縄音楽の母 金井喜久子」の名曲披露 実行委がコンサート
- 2022/4/1
- 社会
沖縄県出身で作曲家の金井(旧姓川平)喜久子さんの音楽を内外に発信することを目的とした「金井喜久子プロジェクト実行委員会」の設立記念コンサートが3月27日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで開かれた。コンサートでは、金井さんが作曲した名曲をピアノや三線、合唱団がそれぞれの特徴を存分に生かして披露し、詰めかけた300人の観客を魅了した。
金井(旧姓川平)喜久子さん(1906~86)は宮古島市出身。日本人女性として初めて交響曲を作曲し、71年に「じんじん」で第13回日本レコード大賞童謡賞を受賞。沖縄本土復帰記念式典の祝典序曲「飛翔(はばたき)」を作曲した。
コンサートでは、県出身のピアニスト高良仁美さんが「琉球カチャーシー」などを演奏したほか、金井喜久子さんの姪で県出身舞踊家の多嘉良カナさんが、三線で沖縄民謡「あやぐ」などを唄った。さらに、高里千穂子さんが団長を務める那覇少年少女合唱団が「盆踊り(くいちゃーあやぐ)」などを披露し、曲に込めた熱い思いを届けた。
鎌田佐多子実行委員長は、冒頭あいさつで「『宮良長包』が沖縄音楽の父と言われているが、『金井喜久子』という母がいたことを知ってほしい」と強調し、4年後の生誕120年に向けて、多くの県民などに魅力を広げていくために活動を続けると説明した。
コンサートの途中には、実行委員の新城悦子さんが登壇し、22歳から3年間、東京で金井さんと寝食を共にした思い出を紹介し、金井さんのことを「東京での母です」と笑顔で語った。「こういうプロジェクトを作ってくださり、天国で先生も喜んでいると思う」とも述べた。
プロジェクトの発起人でフリーアナウンサーの宮城さつきさんは、金井さんに扮して、当時の佐藤栄作首相に突然会いに行くエピソードを寸劇で披露。その上で、設立の経緯について「4年ほど前に金井さんの本に出会い、沖縄にこんなに素晴らしい作曲家がいたことを知った。あの当時に、堂々と、うちなんちゅとして誇り高く生きた姿に感動した」と話した。
(記事・写真 宮古毎日新聞)