ゴミ拾い、農業、冬…身近なことから環境と気候を考える 世界気候アクション

 
気候変動について考える「世界気候アクション」を呼びかけるポスターイメージ(Fridays For Future WEBサイトより)

 気候変動対策への意識向上のため世界的に広がっているムーブメント「世界気候アクション」の一環として、北海道・山梨・沖縄をつないだオンラインイベントが3月25日に行われた。企画したのは「Fridays For Future」(FFF)の上記3道県の各拠点代表者たち。FFF Okinawaは今年1月に立ち上がったばかりだ。

 “気軽に”ゴミ拾いができる環境を整えるプロジェクト「マナティ」や、農業の循環の中で大気中の二酸化炭素を減らす取り組み「4パーミル・イニシアチブ」、スノースポーツの観点から世界中の“冬”を守る「Protect Our Winters.」など、それぞれの地域で環境問題に関わって活動するゲストを招き、具体的な事例を通して気候変動に対する問題意識の持ち方や、自身で今取り組めることなどについて学んだ。

世界中に広がる環境活動のムーブメント

 FFFは2018年にスウェーデンの環境活動家・グレタ・トゥーンベリさんが気候危機への対策を求めて行った活動をきっかけに、世界的に広がった運動。翌19年には日本でも活動が始まり、学生を中心に全国各地に拠点が立ち上げられて活動の幅を広げている。

 Protect Our Winters. Japan代表の小松吾郎さん、「4パーミル・イニシアチブ」に取り組む山梨県農政部長坂内啓二さん、そして沖縄からは「株式会社マナティ」代表の金城由希乃さんが登壇し、それぞれの活動内容や環境問題に対する考えを語った。

オンラインイベントの参加者(FFF提供)

ビーチクリーンと交流を同時に(沖縄)

 海の環境保全活動として「サンゴに優しい日焼け止め」の販売や、気軽にビーチクリーンをすることができるプロジェクト「マナティ」を企画した金城由希乃さんは、善意でのビーチでのゴミ拾いが実は地域に負担をかけてしまっている側面などを指摘しながら、自身の取り組みについて述べた。

「ゴミ拾いは勝手にやると大変なんです。外に落ちてるゴミは厳密には『家庭ゴミ』ではなく、業者が回収してくれないことがあります。ビーチクリーンで集めて放置されたゴミの処理は結局地域の人が請け負うことになる。ゴミ拾いをするためのちゃんとした手続きは役所への申請が必要なのですが、手間がかかるし中にはレポートの提出が必要な場合もあるんです」

 そこで金城さんが発案したのが、マナティに賛同するパートーナーとなる売店や宿泊施設に500円を払って専用バッグ(ゴミ袋)と軍手をレンタルすることが出来るシステムだった。集めたゴミを入れたバッグごと返却すれば、貸し出してくれた事業者がその自治体のルールでゴミを処分する。

 海がきれになるのはもちろん、地域の人たちとの交流も生まれるこの仕組みは賛同を得ながら県外にもその輪が広がって、現在パートナーは80ヶ所に及ぶという。金城さんは「たくさんの人が気軽に取り組むことが出来れば状況は変わります。アクテビティを通して環境とサスティナブルなあり方について考えてほしいですね」と述べた。

全国唯一の先進的取り組みでCO2低減(山梨)

 「グレタさんの発言に山梨のおじさんとしての私は衝撃を受けて、出来ることを調べたんです」と話し始めた坂内さんは、日本全国で山梨が唯一行政として取り組んでいる「4パーミル・イニシアチブ」を紹介した。

 この活動は世界の土壌表層の炭素量を年間で4パーミル(1000分の4%)増加させることができれば、人間の経済活動によって発生・増加する大気中の二酸化炭素増加分を実質ゼロにできるという考え方に基づく。土壌中に炭素を貯留することで大気中の二酸化炭素濃度を低減して地球温暖化を抑制することを目的としている。

 山梨県では主要農産物である桃やブドウなどの果樹園で剪定をした際に出る枝を炭化して土壌に貯留することや、雑草を生やしたままにする草生栽培など、果樹栽培が盛んな山梨の特徴を生かした活動を進めている。

 さらに、この取り組みをブランディングするための認証制度も設けており、「環境のことを考えながら生産されたフルーツを購入して食べることで、地球も人もハッピーになればいいという思いで続けていきたい」と語った。

「出来ることを一歩ずつ」

 Protect Our Winters(POW)は世界各地のスノーリゾートで滑ってきたアメリカのプロスノーボーダーが、少雪でスノースポーツが出来なくなっている現状に直面した危機感から、「我々の冬を守ろう」と立ち上げた団体。現在世界13カ国にネットワークが広がっており、小松さんは日本支部の代表を務めている。

 雪山の近くで暮らしているという小松さんは「雪の減り方と降り方がかなり極端になってきているんです」と説明。気候変動による可能性があることを示唆した。その上で「日本各地でそれぞれの地域の環境を愛し、守りたいという人たちの思いが集まって大きな力になると思います。出来ることを一歩ずつやっていきましょう」と強調した。

 FFF Okinawaでは、気候変動を考える活動に取り組む人を募集している。

 発起人の酒勾さんは「気候変動や環境問題に対応するためには、社会と政治の仕組みを変えるよう働きかける必要があると思います。FFFの活動が私に行動する勇気をくれたように、沖縄でも声を上げることで誰かに勇気を与えられる活動をしていきたいと思っています」と呼びかけた。

■関連リンク
Fridays For Future Okinawa Instagram
Fridays For Future Japan WEBサイト
ボランティアで集めたゴミの末路・・・‘善意の行き違い’をすり合わせる「マナティプロジェクト」‖ HUB沖縄

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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