大量の軽石で沖縄県内に深刻な影響 懸念される長期化
- 2021/10/30
- 社会
小笠原諸島・福徳岡ノ場の海底火山が大噴火したことで発生した大量の軽石が海流に乗って沖縄県に漂着し、本島北部をはじめ各地の漁港やビーチに押し寄せたため、漁業や観光業に大きな影響が出ている。
まるでセメントを敷き詰めたよう
このうち国頭村の辺土名漁港では、港内の水面が軽石で埋め尽くされ、まるでセメントが敷き詰められたような状態となっていた。港内には20隻ほどの漁船が停泊していたが、エンジンにトラブルが発生するのを避けるために、出港することもままならない。
県は業者に委託して29日から辺土名漁港でショベルカー2台を使った軽石の除去作業を始めたが、港内に押し寄せた軽石は膨大な量に上っており、作業の長期化も考えられる。
港の状態を確認しに来た漁師の男性は、23日に海上保安庁の巡視艇が糸満市沖で軽石を吸い込み航行不能になったことから、「巡視艇ですら動けなくなるくらいだから、小さな漁船ではとても無理。そろそろソデイカ漁が始まるシーズンなのに、このままの状態が続けば、漁のメドが立たない」と心配そうにしていた。
25日前と様変わりした川の表面
また、大宜味村喜如嘉の集落を流れる川は、河口から数百メートル上流まで軽石が遡り、一面、灰色となっていた。10月上旬にちょうど同じ場所を訪れた際には、青緑色の水面だっただけに、軽石で劇的に変化したことが分かる。近くに住むという年配の男性も「こんな光景は初めて見た」と驚いていた。
この他にも、30日に南城市安座真と久高島を結ぶフェリー(1日6便)が全便欠航となるなど、住民生活に深刻な影響が出ており、漂着する軽石の量によっては、影響が長引くことが懸念される。