20万人犠牲者、冥福祈る 沖縄「慰霊の日」
- 2023/6/24
- 社会
沖縄は23日、20万人余が犠牲となった沖縄戦から78年となる「慰霊の日」を迎え、糸満市摩文仁の平和祈念公園では、全戦没者追悼式(主催・沖縄県、沖縄県議会)が営まれた。今年は4年ぶりに通常規模で開催され、一般参列者の入場や、式典終了後の一般焼香も制限なく実施。来賓には、岸田文雄首相のほか、衆参両院議長らが招待された。
玉城デニー知事は、平和宣言の中で「戦争体験者からの未来への教訓を次世代へ伝えていくことは、私たちの使命」と、しまくとぅば(沖縄の方言)や英語で語ったほか、「より良い沖縄の未来の創造を目指し、全身全霊で取り組んでいく」と誓った。
このほか、玉城知事は本土復帰から51年経つ現在も米軍専用施設面積の約7割が県内に集中していることを指摘。日米地位協定の抜本的な見直しや、普天間飛行場の一日も早い危険性の除去などを訴え、「基地問題の解決を強く求めていく」と力を込めた。
さらに、昨年12月に閣議決定された「国家安全保障戦略」などにも触れ、沖縄における防衛力強化に関連する記述が多く見られることを指摘。「県民に大きな不安を生じさせている」と強調した。
その上で、平和構築に求められるのは「対話による平和外交」と訴えた。その一環として、「アジア太平洋地域における県独自の外交展開に努めていく」との意気込みを示した。
岸田首相は来賓あいさつで、「米軍基地の整理・統合・縮小を進め、目に見える成果を着実に積み上げ、基地負担の軽減に全力で取り組んでいく」と語った。
また、岸田首相は県民1人当たり所得の向上、子供の貧困の解消などの沖縄が抱える課題について触れ、「強い沖縄経済が実現されるよう、国家戦略として沖縄振興にしっかりと取り組んでいく」と述べた。
このほか、安全保障環境は、戦後最も厳しく複雑な状況にあるとした上で、「世界の誰もが平和で心豊かに暮らせる世の中を実現するため、不断の努力を重ねていくことを、み霊に誓う」と力を込めた。
(記事・写真 宮古毎日新聞)