【復帰50年】多様な角度から本土復帰を問う NHK沖縄で関連番組続々放送
- 2022/5/6
- 社会
沖縄の本土復帰50年に合わせて、NHK沖縄放送局が7日から15日にかけて本土復帰や沖縄に関連する新作番組、貴重なアーカイブス番組を放送する。「つなぐ未来へ」をキャッチコピーに、沖縄を巡る問題の根幹を問う番組や、1972年当時の沖縄のVR空間を旅する番組、音楽の観点から復帰後の沖縄をたどる番組、さらに人気ドキュメンタリー『ドキュメント 72時間』の沖縄を舞台にした過去放送回の一挙放送など、さまざまな角度から沖縄と復帰を見つめ、考える番組の放送が予定されている。
先人の歴史の記憶を次世代に「つなぐ」
NHK沖縄放送局はキャッチコピーの「つなぐ」という文言について、「時間的、精神的、地理的につながっていきたいという意味を込めています」と説明。その上で「沖縄の先人たちが背負ってきた歴史の記憶と思いを次世代につなぎ、ユイマールの精神で互いをつなぎ、世界のウチナーンチュとともに沖縄とアジアの国々を『万国津梁』の気概でつなぎたいというメッセージです」と続けた。
復帰記念日の15日(日)には『NHKスペシャル 証言と映像で迫る“沖縄返還全史”(仮)』を放映。対日外交を担当したアメリカ外交官の音声テープ、返還交渉に携わった日本の外務高官や沖縄政治指導者など“当事者”たちの肉声の記録を紐解き、沖縄復帰とは何だったのかを問う。
また、同日の『日曜美術館』では「失われたときを求めて~復帰50年琉球の文化の継承~」をテーマに、東京国立博物館で5月3日から開かれている特別展「琉球」を紹介しながら、戦禍などで失われた文化の復元に尽力する芸術家の取り組みを描く。
11日(水)の『クローズアップ現代』では45分の拡大版で「VR時空旅行 →沖縄1972」と題して、復帰を目前に控えた72年の沖縄各地をVRで再現する。全国の若者が自宅パソコンからVR空間に入り込んで当時の空気感を追体験する“修学旅行”を行う。ゲストにはガレッジセールのゴリさんや俳優の玉城ティナさん、編集者の新城和博さんを迎える。
「当時の様子や人々の想いを届けたい」
ロックやポップス、近年ではHIP HOPまで、幅広いジャンルで活躍するアーティストを生み出した沖縄に迫るミュージック・ドキュメンタリー『NHKスペシャル OKINAWAジャーニー・オブ・ソウル(仮)』は、22日(日)放送予定。安室奈美恵やDA PUMP、SPEEDなど、90年代以降のJ-POPシーンを塗り替えたアクターズスクールや、BEGIN、MONGOL800、ORANGE RANGEなどのバンド勢も含め、ミュージシャンたちのインタビューも織り交ぜながら復帰後50年を彩った島の音楽の歴史をたどる。
そのほか、7日(土)には『ドキュメント72時間』の「うちなースペシャル」として、午前9時から沖縄を舞台にした放送5回分を一挙放送する。さらに9日(月)は、本土復帰の約半年前に放送され、沖縄返還協定に関する国会審議を巡る混乱や、当時の県民の声が記録されたアーカイブス番組『ドキュメンタリー本土復帰』を放送する。
NHK沖縄の担当者は「沖縄の本土復帰から50年が経った今、当時の様子や人々の想い、50年の間に起きた出来事などを放送を通してお届けしたい。自身が復帰当時を経験された方、自身は経験してないが身近に経験をされた方がいる方、復帰について詳しく知らない方など、さまざまな方に見ていただき、沖縄の過去やこれからについて思いを馳せていただくきっかけとなればと思っています」とコメントした。