平均白化率が92.8% 石垣島沖にある国内最大のサンゴ礁「石西礁湖」
- 2022/10/25
- 社会
環境省は24日、石垣島沖にある国内最大のサンゴ礁海域「石西礁湖(せきせいしょうこ)」を9月下旬に調査した結果、全31調査地点の平均白化率が92.8%に上ったことを発表した。夏季の高水温が原因とされる大規模な白化現象が起きた2016年に次ぐ高さという。白化率の内訳では、完全に白化している状態の「白化」と「死亡」が合わせて5割に達した。
今回の調査は今年9月24日から29日まで実施。石垣島、竹富島、小浜島、西表島、黒島、新城島周辺海域に50メートル四方の調査地点を31カ所設定し、スポットチェック法(15分間のスノーケリングを行い、被度や白化率等を目視観察する方法)を用いて調べた。
17.7%が「死亡」 健全は7.2%のみ
平均白化率92.8%のうち、群体全体が白化により死亡した状態が前年比15.7ポイント増の17.7%に上り、完全に白化している状態も29.3ポイント増の32.3%と高い割合を示した。一方で、白化していない「健全」は12.3ポイント減の7.2%にとどまった。
一部白化・一部死亡、全体的に色が薄い状態の「薄色」は32.7ポイント減の42.7%だった。
全体の平均白化率は2016年の97.0%に次いで高く、発表では「例年9月の白化率が比較的低い値となる調査地点においても、2022年9月の本調査時には高い値となるなど、2017年以降の数年間よりも顕著に白化現象が進行しており、全体的に白化率が高かった」とまとめた。
着生可能な海底面の範囲のうち、生きているサンゴ群体が占める範囲の割合を示す「被度」も前年比4.6ポイント減の21.6%となった。2016年以降は毎年緩やかに回復を続けていたが、5年ぶりに低下した。ただ、被度の低下要因は必ずしも白化現象のみではなく、9月に襲来した台風11号、12号による海中の撹乱なども影響している可能性があるという。
夏季の高水温が影響か
白化が進んだのは、2016年と同様に高水温が原因と見られる。気象庁のデータによると、石西礁湖海域の海面水温は7月21日から9月4日まで連続で30度を超えていた。
「薄色」と「白化」に分類された群体は今後回復または死亡すると見られることから、環境省は今後も追跡調査を行い、「これまでに発生した大規模白化現象との比較を行い、今夏に発生した大規模白化現象の影響把握等に努める」としている。
環境省は石西礁湖の自然再生事業を2006年から実施しており、2016年からは毎年スポットチェック法による調査を行っている。