負債2億円から家業弁当屋を再建 上間さんにロッキー賞、経営手腕評価

 
記念講演で自身の経歴や信念を語る上間喜壽さん=琉球大学

 旺盛なチャレンジ精神や高い志、外界志向を持ち、沖縄の若者の目標となる人を讃える「2022年ロッキーチャレンジ賞」に、「上間弁当天ぷら」などを経営する上間フードアンドライフ(沖縄市)の上間喜壽会長(37)が輝いた。琉球大学で行われた受賞式や、上間さんの記念講演の様子が7月22日にYouTubeの琉球大学地域連携推進機構チャンネルで公開された。一時は負債2億円を抱えた家業の弁当屋を、独自の会計システムの開発や多店舗化、人材育成に注力し、見事に再建した経営手腕が評価された。

 ロッキーチャレンジ賞は元日産ディーゼル社長の仲村巌氏が私費で2010年に設立。これまで医師やピアニスト、サンゴ研究者、IT企業の社長などさまざまな分野の沖縄県出身者が毎年1人ずつ表彰され、受賞者は上間さんで13人目となる。

20代前半で代表に 人材育成にも高い評価

 上間弁当天ぷらは、上間さんの祖父が沖縄市のゴヤ市場で開いた刺身屋がルーツ。上間さんの両親が暖簾分けで弁当や天ぷらの販売を始め、地域に親しまれていたが、原価率を考慮しないサービスで負債が膨らんでいた。

 法政大学経営学部を卒業後、家業を再建するために20代前半という若さで代表に就いた上間さん。収入支出額の管理や商品カタログ、ロゴの作成によるPR力の強化、社員が随時改善点を探れる会計システムの構築などにも着手し、沖縄県の人材育成企業にも認定された。

 見事事業を軌道に乗せ、代表就任時に比べて売上高を10倍に伸ばし、80人以上のスタッフを抱えるまでに成長させた。「食を通して沖縄の文化を守り、伝え、発展させていく」を理念に、現在は沖縄市とうるま市に「上間弁当天ぷら店」と「上間沖縄天ぷら店」の計8店舗を展開している。

経営セミナーなど幅広い分野で活躍

記念の盾を受け取る上間さん(左)=琉球大学

 さらに上間さんは経営に関するセミナー活動やマネジメントコンサルティング、現在計画が進む沖縄本島北部のテーマパーク計画を後押しする地元密着型ファンドの運営に携わるなど、幅広い分野で活躍している。

 表彰式では、賞金100万円と記念の盾が贈られた。上間さんは「私がこれまでキャリアの中で取り組んできたことが、このような評価を受けることは非常に驚きと感謝で溢れております。これからも沖縄を変えていけるような、新たな風を吹き込んでいきたいと思います」と挨拶した。

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