世界のウチナーンチュを題材に映画制作中!大学院生・飯塚さん

 

 沖縄にルーツがある海外移民が沖縄で一堂に会する「第7回世界のウチナーンチュ大会」が10月30日から11月3日の日程で開催される。5年に一度巡ってくる大会の開催年となる今年、北海道出身の大学院生・飯塚陽美(みなみ)さん(27)は、世界のウチナーンチュを題材にしたドキュメンタリー映画作りに励んでいる。県系人の沖縄在住者や研修生・留学生、関連コミュニティの人々など15人以上にインタビューを敢行してまとめる予定で、この4月から本格的に制作を開始している。順調にいけば来年6月ごろに公開される予定だ。

論文⇒映画へと発表の場を変えた理由

 映画のタイトルは『超える人(仮)』で、在籍する東京大学大学院博士課程の研究に関連して制作している。昨年から映像の学校にも並行して通いながら表現や編集の技法を学んでいるところだ。9月からはチェコの学校に1年間留学し、さらにドキュメンタリー映画制作について学びを深める。

 飯塚さんは博士課程の前段階である修士課程の時点ですでに、沖縄県系移民をテーマにした学位論文を執筆した。2020年度のもので、主タイトルは「『移民県』沖縄を生きる日系人のルートとルーツ」。現在制作中である映画の手法と同じように、この論文でも沖縄県内で県系人や周囲の人へのインタビューを重ねており、“世界のウチナーンチュ”がアイデンティティで葛藤する様子や沖縄での居場所を見つけていく過程などを掘り下げてている。

 今回、表現の場として映画を選んだことについて飯塚さんは「論文だと研究成果がなかなか一般の目に触れにくくて、もったいないなぁと。ブログとかで個人的に公開するとかになると思うんですけど、なかなか日常的に論文読む人は少ないと思うので」と、より間口の広い媒体で広く沖縄県系人の想いを乗せていこうと考えた。

 「あとは、聞き取った内容を自分が解釈して(論文として分かりやすく)言い換えたりするよりも、日系のご本人に直接経験を語ってもらう姿を通して伝わってくることもたくさんあると思っています。言葉にできない部分ってたくさんあると思うんですよね」

沖縄移民を知るきっかけとして

 飯塚さんは高校時代にチリに留学したり、大学時代にアメリカでマイノリティについての研究を進めたりと、国外で養った視点を国内の移民研究に生かした。その中で「日本全体と沖縄県内における日系人の在り方」に違いがあることに着目したのが、沖縄県出身者ではない飯塚さんが沖縄県系人をテーマに研究を進めているきっかけの一つでもある。

 「日系人って、本土では顔の見えにくい存在で、例えば日系ブラジル人だと、単純にブラジル人として扱われるという現状が結構あります。(出稼ぎなどで)工業地帯で働いている人が多くて、一般的な日本人社会とは接点がなかなか持てていない印象もあります。けれど、沖縄の場合は日系人のみなさん、口をそろえて『自分の故郷に戻ってきた感じがした』と言っている姿に驚きました」

 映画は、そんな彼ら彼女ら自身や出身国の人々にも広く伝えようと、多言語で展開する予定だ。「まだ具体的には言語を決めている訳ではなく、みなさんと相談しながら決めたいんですけど、今のところは英語とかスペイン語、ポルトガル語を想定しています。ウチナーグチも入れたら面白そうですよね」と飯塚さん。「何かを浮き彫りにするような核心を突いた映画というよりかは、沖縄で起きている日系移民に関する営みについて『こういうことが起きているんだ。面白そう』って思ってもらえる映画にしたいです」とビジョンを描いている。

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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