カルト教団から若者をどう守るのか 沖縄ならではの特徴も

 

 旧統一教会の信者を母親に持つ山上徹也容疑者が安倍晋三元首相を銃殺した事件から8日で1カ月が過ぎた。カルト教団問題はここ数年影を潜めていたが、メディアが積極的に報道しなかっただけで、異常な献金被害や無償労働、性被害などは続いていた。

 3月や4月が勧誘のピークと言われるが、県内の大学は悪魔の勧誘からどう学生を守るのか。沖縄キリスト教学院大学(中頭郡西原町)の野間光顕特任講師に話を聞いた。

“あの時”と似た状況

――入学時にプリント1枚を配布するだけの大学もある中、貴大学は最も対策に力を入れているように見えます。

「本校は県内で唯一のキリスト教主義大学で、1年次に必修科目で前後期それぞれ15時間の『キリスト教学』を講義しています。1時間目は年間の学習計画ですが、2時間目は本校の歴史――沖縄戦の反省に立ち、平和を目指し二度と戦争を起こさせない建学の精神を学びます。そして3時間目に丸々1時間使って、カルトについて教えます。

野間光顕特任講師

 赴任してきて3年目ですが、1年目は後期の終わりにやっていましたが、学生から『友達で被害を受けた子もいるし、もっと早くからから教えてほしかった』と言われ、今の形になりました」

――その3時間目の講義では、小冊子「カルトって知ってますか」(日本キリスト教団 カルト問題連絡会発行)とDVD「カルト~すぐそばにある危機!~」(企画・制作 JSCPR日本脱カルト協会)を教材にしています。

「カルトで最も知られているのはオウム真理教による地下鉄サリン事件です。ただ学生はほとんどが1999年以降に生まれているので、オウムの名は聞いたことがあっても具体的には分かりません。

 80年代から90年代にかけて、バブルが弾け社会に暗雲が漂う中で、彼らは世紀末だと不安をあおり信者を増やしてきました。翻って現在、長引くコロナ禍にウクライナ戦争、異常気象と先が見えない中で、当時と状況が似ていて、そこにカルトがつけ込んでくるからDVDを見てみようと導入しています」

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